PHASE-641【鈍器必須】
「じゃあ、行ってみるかね」
「ダンジョンですからね。もしかしたらいろんなアイテムがあるかもしれませんよ」
それは楽しみだ。
侯爵からはダンジョン攻略に必要なアイテムに、食糧とハイポーション、アンチドーテを今回も提供してもらう。
姫を救ったから欲しい物は全て無償での提供。
流石にオリハルコン装備は紛失しないように頼まれるが、その他に提供できる装備は別段、失っても良いですとのことだった。
器のでかい大貴族様には感謝である。
「仲間になったわけだからな。もちろんおかしな事はしないと信じている」
「しないわよ!」
俺とコクリコにリン。
仲間になったばかりだし、もしかしたらという事は無いとは思いたいと言いつつ、ベルがリンに圧をかけていた。
もしダンジョンでリンが敵対し、火龍装備もなくコクリコと二人だけで戦いに発展してしまえば、間違いなく敗北だな。
「俺も信じているからな。お願いだから俺に力を使わせないでくれよ」
そう、もしもの時はプレイギアから遠距離召喚も可能。
ベルとゲッコーさんだって呼ぼうと思えばいつでも呼べるからな。
「はいはい、信用されてないわね」
人間だけでなく亜人の事も考え守ろうと行動している人物だからな。
信用は十分だけども、力を試すためとはいえ、敵対関係としてぶつかったのはつい最近。
払拭するほどの時間を共有していないからな。そこら辺を警戒してしまうのは仕方なしと思ってもらいたい。
でも発言は本心で、俺はリンが敵対する事はないと信じるけどね。
別に俺たちと敵対してもメリットがないわけだし。
それに、俺の事をいい男って言ってくれたしな。
後は――――、
「メイスってあります」
「メイス――ですか? ありますが」
侯爵が大広間に揃えてくれた装備の中からいくつかを紹介してくれる。
ご自慢のオリハルコンはロングソードのみだが、ミスリル製のメイスもあるといって、革袋に覆われたものから取り出せば、大人の腕の長さくらいある、青白く輝くメイスが現れる。
柄には茶褐色の革製のグリップ。凹凸のある頭部で殴られれば、一撃で致命傷になるのが伝わってくる。
鉄よりも軽くて頑丈なミスリル。
侯爵から手渡されれば、厳つい見た目とは違って軽い。
オリハルコンのロングソードはこれよりも軽いけど。
が、やはり残火を使用している俺からすれば重い。
別段、超重武器を使用するわけではないので問題はないけども、これを重いと思えてしまうくらいに、俺は残火に依存していたというのが分かる。
残火にそれを収める鞘。火龍の籠手より顕現させる炎の盾と烈火。
斬撃と打撃はこれらが揃っていたから今までは問題なかったけど、現在はそうはいかない。
リンは、ダンジョンにはアンデッドも出現すると言っていた。
スケルトン系がいると想定すれば、打撃武器は持っていて損はない。
実際、廃城でもベルがメイスでスケルトンを倒してたしな。
普段は火龍の軽量装備だけど、現在はロングソードにメイスを佩いた出で立ち。
結構ズシッと重さを感じる。
これに鎧一色だからな。普通に鉄製の装備で身を包む兵士の皆さんに尊敬の念を抱く。
――――今回の俺の装備は、オリハルコン製のロングソード。同鎧一式。ミスリルメイス。
これに元々俺が使用している銃器と、今回もファイヤーボール代わりのモロトフカクテル。
で、ゴロ太が作ってくれたソードブレイカー。
ガントレットを除けば、ゴロ太のナイフが今回、俺にとっての盾代わりってことかな。
後、残すは……、
「もちろん地龍から貰った曲玉も……」
「駄目だな。火龍ほどの威厳も存在感もないが、一応は
サラッとゲッコーさんは酷い事を言う。
地龍がこの場にいなくて本当によかったよ。
――――。
「ここか」
「ええ」
「腕がなりますね!」
コクリコが快活良く拳を自身の掌に打ち込む。
「意外にドヌクトスから近いんだな」
「近い方が逆に見落とすってやつよ」
「灯台もと暗しだな」
ドヌクトスから南西に向かい、悪路に悩まされない平原をJLTVで一日の距離。
そこは広大な湖のある風景だった。
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