PHASE-629【ネット表現は時としてイラッとする】
いやいやこれは据え置きじゃない。携帯のプレイギアだ。
何でもかんでもマウスに繋げるのは弱者の言い訳だな。
こういった偶然だってあるさ――きっと――――。
――…………。
「……偶然ってレベルじゃねえぞ……」
まって何なのこのプレイヤー達。
敵だけじゃなく味方さんも立ち回りが凄いんだけど。
凄すぎてまったく参考にならない方々ばっかりなんだけど。
完全にプレイ時間が5000時間は超えていると言ってもいいヘビーユーザーとしか思えないんだけど。
もしくは全員もれなくプロの方々ですかね?
――――戦いも終盤にさしかかる。
俺だけで見れば圧倒的にこっちが劣勢のような気もするが、拮抗している。
むしろ、わずかだけどこっち有利。
かくいう俺は終わりに差し掛かっているのに一キルも出来ていない……。
0キル36デスだ。
こんな醜態は始めた頃でもなかった……。
完全に俺が足枷要員になっている。
これで負けたら完全に俺が全責任を負わないといけない……。
大人数で参加できるタイプのゲームだから責任が分散するといっても、この状況だと全責任を俺が被ることになるのは間違いない。
同じチームの十九人から、一斉に苦情メールがやって来そうで怖い……。
これ、萎え落ちしようかな……。
「って、またヘッショかよ……。どんだけ上手いんだよ……」
おかしいよ。チートを疑いたくなるよ……。
俺以外のプレイヤー、異世界チートゲーマーなんじゃねえの? そんなタイトルの作品ありそうだなおい。
って、なんでコイツは俺の前で屈伸してんの……。
「煽ってんじゃねえよ!」
クソが! 普段の俺なら屈伸されたってこうやって声を荒げる事なんてないのに。
でも0キルと圧倒的デス数に、焦りから怒りが溢れてしまった。
実戦と違ってゲームなのに、怒りの感情を抑制できないとは情けない……。
分隊リスポンすれば即座にまたキルされる。そして屈伸……。
「この野郎!」
ムカついたのでIDをしっかりと確認すれば、【Thirteen_ Grim Reaper-Death-】って名前だった。
「サーティーン、グリム・リーパー、デス……って。死神、死神……。でも十三ってなんだ? それよりも――だ」
記憶にあるIDだ。
直ぐさまホーム画面からフレンドを確認。
現在このプレイギアにフレンドは一人しかいないので、直ぐに分かるわけだが――――。
屈伸ID野郎と同じIDがフレンド覧に表示され、尚且つ俺と同じマップをプレイしているという情報も記載されている。
ピローン♪
タイミングを見計らったかのようにメールが来る。
{弱すぎワロタw}
屈伸野郎――女だから野郎ではないが、まさかの煽りメールまで送ってくるとかどんだけなめてんの?
これ、フレンド解除とか当然の案件だよ。
あと、w使うな! これマジでムカつくから。
{確かに弱いよ。でもここにいる人達がプロと思えるくらいに上手いんだよ。あと、w使うな! な!!}
思いの丈もしっかりと返信に書き込む。
直ぐさまピローン♪ って鳴れば、
{ここにいる人達は普通でしょ? 貴男が弱いだけ。草生える}
wは使うなって伝えたけど、草生えるって表現もやめろ。腹立つ!
イライラから、唸りながら頭を掻きむしってしまう勇者の姿が、寝室のベッドで見る事が出来ます。
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