PHASE-630【天界勢は次の転生まで暇をもてあましています】
{お前ね、屈伸や煽りメールをして、今後どうなるか分かってんのか? これフレンド切る案件としては十分だからな}
送信すれば光の速さと例えたいくらいの返信がくる。
{ちょっと待って! 冗談だから。チーム移ってあげるから}
{次な。次のマップでな}
今のとこまだ俺たちの方が勝っているからな。
ここでチームを移れば、元のチームメンバーは、セラの行為を有利ジョインと判断するだろう。スコアを見ればセラのヤツ、向こうで一位だし。
負け側上位がチームを移るのは、チームに悪影響だから止めて上げて。
強制は出来ないけど、それは本当に止めて上げてくれ。
――……止めさせた結果、こっちのチームは薄氷の勝利。俺は一方的にボコボコ……。
でもフレンド切るってメールが心胆を寒からしめたのか、煽るって事はしなくなった。
でもって明らかに俺に対して、わざと撃ち負けたところが三度あったよ……。
忖度キルをする事になるとは……。
結局、3キル47デスという悪夢を俺は経験する事になった……。
「まああれだ……。最近はゲームやってなかったからな。この世界を守るために頑張ってたから」
必死に弁解を探している俺がいる。しかも独り言ってのがね……。必死に誤魔化そうとしているよね。
この部屋には俺しかいないのにさ……。
でもゲームで勝ち誇られても、現実では俺の方が頑張ってるから。世界のために頑張ってるからね。
独り言を発しない事は出来るようになったけど、言い訳が頭の中で次から次へと湧いてくる。
しかもTHE・負け犬のような言い訳ばかりだった……。
{パーティー作ろう}
ああ、はい。
作れば――、
『いやいや残念だったわね』
「久しぶりだな。声を聴くのは俺が異世界に行く前か」
『そちらで大いに頑張ってくださり、感謝しております』
ほほう、随分と腰が低いじゃないか。
たった一人のフレンドが大事らしい。
一兆人とか誇ってたけど、コイツ、自分の個人情報部分をフレンドでも見れないようにしているから、何人フレンドがいるか分からないんだよな。
俺一人しかいないってのは断言できるけども。
「なんでさっきのマップの人達、あんな猛者揃いだったんだ?」
『さっきもメールで伝えたけど、普通だから』
「明らかに正確すぎるんだよ。マウス使用としか思えないくらいに。このゲーム、クロスプレイはないはずだけど」
『皆、時間をもてあましているから、鍛えまくっているのよ』
時間をもてあましている? どういうことだ?
『あれだからね。今、貴男が戦っていたの天界にいる人達だから』
「…………マジで!?」
『そうそう。現世ではないわよ』
セラは知恵の実マークのタブレットを持っていたけど、ゲーム機も普及してんだな。
セラがフレンド依頼や、今回みたいに一緒にプレイしているのがその証拠か。
話を聞けば、天界では次の転生待ちの方々が有意義に時間を過ごすために、生前に楽しんでいた趣味なんかを堪能できるそうだ。
こんなんだったら俺も次を待っていればよかったと思ったけど、確か次の転生が必ずしも人間になれるとは限らない。と、セラが言っていたのを思い出す。
でもって俺の次の転生に、セラが社会性昆虫ばかりで例えていた事も同時に思い出し、イラッとしてしまった。
有意義に時間を過ごす転生待ちの方々は、無論、死者なので食事も睡眠も必要ないそうだ。
だからゲームが好きな面々は、四六時中ゲームを楽しんでいるとの事。
食事もしなくていいからトイレに行く必要もなく、風呂に入る事もないのでとにかくゲーム三昧。
「そりゃ強くなるわ……」
『現世ではどうかしらないけど、天界レベルはあれで普通だから』
100パーセントのヘッショが当たり前な世界が普通とか……、現世のプロが息しないよ。
「やる気がなくなってきた……」
『いやいやいや! そこは努力で何とかするものよ。私も手伝うから。特訓よ!』
この焦りよう……。
セラは俺が離れていくのが嫌なようだ。
どうしてもフレンドと一緒にゲームを楽しみたい! という欲求に支配されているご様子。
必死か! この死神。
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