PHASE-392【ハッスルの続きをお願いします!】

 ――――夕方になって、夕食もしっかりと摂取すれば、ようやく違和感なく普通に歩けるようにはなった。

 でも、だるい事は変わらない。

 普段こんなところで横にならないのに、なっているのがいい証拠だ。

 横になれば次に欲すのは、渇きを癒やすものだな。


「ランシェルちゃんのお茶が飲みたいな~」

 大広間の一角で待機しているランシェルちゃん。

 お願いすれば笑顔でお茶を…………お? あれ?


「ランシェルちゃん」


「なんでしょうか」


「あの~お茶を……」

 なんで半眼。


「ご自分でどうぞ」

 おいおい、やっぱり拗ねてんのか。

 ベルの高評価に俺がデレッとして喜んでたから拗ねたのか。

 でもね、今の俺にとって、それは最高の気分にさせてくれる行為ですよ。

 今までの人生で、女の子、しかもとんでもなく可愛い女の子が俺に対して嫉妬するなんて無かったからね。

 嫉妬して拗ねてる姿とか、最高に嬉しいだけ。

 やべ~。ランシェルちゃんと俺、近いうちにチューでも出来るんじゃないの?

 ――――最高かよ。


「私が入れてやろう」

 と、ここで本日、俺に高評価を与えてくれたベルさんがお茶を入れてくれるという。


 最高かよ!


 普段も注いでくれるけど、それは皆に対してだ。

 俺限定というものになれば、もしかしたら初めてかも。


 最高かよ!!


「じゃあ、ベルお願い」

 甘えてお願いするままにチラリとランシェルちゃんを見れば、頬を膨らませていた。

 キタコレ! ガチのモテ期だよ。

 フハハハハハ、我が世の春が来たぁぁぁぁ!


「ぜっっっこうちょうである!」


「なら自分で入れるか?」


「あ、いや。お願いします」

 喜んでいるところでランシェルちゃんを見れば、更にむすっとしている。

 そこにコトネさんが入室してくれば、頭を軽く叩かれていた。

 メイドなんだから分別をつけなさいといったところかな。


 分別をつけるとかだと、あれかな? 【勇者様に恋愛感情を持っても高嶺の花なのだから】なんて会話が、コトネさんと二人っきりになれば発生したりするのかな?

 もしそんなイベントが俺の目の届かないところで発生するなら、男冥利に尽きるってもんだ。


「どうだ」

 

「美味い!」

 妄想で最高の気分に浸っているところに、ベルが注いでくれたお茶。

 風味豊かな紅茶だ。

 しかも絨毯までわざわざ運んでくれる優しさ。

 いつものような態度なら、テーブルまで来いと言うはずなのに。

 俺の好感度は天井知らずですね。


「あ~英気が養われる~」

 暖かな紅茶に心も体も癒やされるようだ。

 美人が入れてくれるってところが、更に効果がアップしそう感じだよな。


「疲れているだろうが、頑張るんだぞ」

 ん?


「何を頑張るんだ?」


「…………おかわりはどうだ?」

 え、何その間は? なんか誤魔化そうとしていないか? 明後日の方向を見ているけど。

 何なんだ? 本当に気になるんだけど。


 


 ――――とはいえ、


「ひゃほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 今日は朝からしんどかったけども、ランシェルちゃんが嫉妬してくれたり。ベルが俺に優しかったりと、良い気分で夜を迎えられるね。


 ベルから紅茶を注いでもらった後は、自分もと、ランシェルちゃんがお茶を注いでくれた。

 独特な風味のお茶も不思議と欲してしまう。

 若干感じる渋味の奥側にある、美味さの虜になっているね。

 あのハーブティーは魅惑の味だ。

 

 満足いく食事に、広い風呂を一人で独占して、ベッドにダイブ。

 毎日、最高の時間を過ごせているな。

 

 広い風呂でのイベントとなると、ランシェルちゃんともっと仲良くなったら、背中とか流してくれるのだろうか? という妄想をしつつ、日課となったキングサイズのベッドで転がり回る行為。


「ハハハハハハ――――」

 気分が良いから笑いが勝手に出て来る。

 周囲で俺の言動を見ている人がいたら、きっと俺を可哀想な人だと思うだろうな。

 でもいい! 俺が最高だと思っているんだから。他がどう思おうが関係ないね!  世の人は、我を何とも言わば言え。我なす事は我のみぞ知る――――だ!

 そうですよね。坂本先生。こんな事で坂本先生の名言を使用してごめんなさい。

 そもそも誰もいない寝室で、俺を見ている人なんていないしな!


 こんなにも気分が良いんだから、本日も楽しい夢をお願いしますよ。

 先日の続きをお願いしますよ。続きからですからね!

 ベルとのハッスルまでをお願いします。

 

 夢の中だけでも童貞を捨てさせてください。本当にお願いします! いい香りのするキングサイズのベッド様。

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