PHASE-09【ZERO】
{ヤッホー! セラだよ。さっきの死神ね。キャラを初めて召喚したみたいね。私の力で、パラメーターを表示できるようにしてあげたよ。大いに感謝してね~。それを使って、今の状況を確認して、召喚したキャラとの関係向上のために使用してちょ♪}
――――だからパラメーターがあったのか。
ありがたいけど、数字化されると、虚しくなってきたぞ……。
ベルヴェット・アポロ。
武力100(カンストオーバー)
知力98
統率84
魅力100
忠誠0
歴史シミュレーションゲームのような表示だな。
やはりハイスペックだよベルヴェット。武力に関しては表示以上って事なんだろう。それは先ほどの一振りで理解できる。
だけど、肝心なところがさ……。
忠誠0!?
――…………0、ゼロ、零、ZERO……。
へっ、不思議と某フライトシューティングゲームのシリーズで使用された、ラストステージの音楽が脳内で再生されたぜ……。
この忠誠って、俺に対しての数値と考えてOK?
ゼロ……。
無理じゃん! なんか下手こいたり、間違った発言したら、本当に消し炭ルートに突入するじゃんよ!
てっきり、なんだかんだでいい感じになって、楽しくお喋りなんかのイベントが待ってると思ってたのに。
まあ、ファーストコンタクトは、切っ先を喉元に向けられるってものだったけどさ……。
「おい!」
切れ長の、エメラルドグリーンな瞳に睨まれればゾクゾクだ。
怖いとかじゃなくて、美人の睨みってのは、名状しがたいものがあるな。
「な、なに?」
「何度も言わせるな。なぜ私を知っているのだ」
「それは……」
「さっきも言ったが、明らかにここの住人たちとも服装が違う」
まあ、チェーンストアで売ってる千円くらいのTシャツと、三千円くらいのカーゴパンツだからね。
ゲーム以外にはお金をかけないスタイルなんだ。
とか、そんなことを問うてるわけじゃないよな。
「無理矢理にでも聞いてよいのだが?」
ひぃぃぃぃ。簡単に剣を抜くなよ。忠誠心ゼロはダテじゃないな。
「ん?」
――……おいおい……、勘弁してくれよ。
眼前の状況にも困り果ててるのに、今度は兵士かよ。
手に槍なんて持って、俺たちを囲んできたよ。さっきまで住人を押し倒して逃げてたくせに。
悪いことは言わない。やめとけ。さっさと逃げろ。この美人に敵対心を向けたら消し炭になるぞ。
ただでさえ、お前等への評価は低いんだから。
「なんだ、臆病者ども」
ターゲットが俺から包囲し始める奴らに移行する。
一応、穂先をこちらに向けてないから、ベルヴェットもまだ切っ先を相手には向けてない。
「こちらに敵対の意思はありません」
明らかに一般の兵士とは違うのが、こちらに歩み寄ってくる。
マントに、腰の鞘と剣の柄を見る限り、一般の連中より作りが丁寧だ。兵長的な存在だな。
「貴方方には、是非とも王城に来ていただきたい」
来たコレ。あれだよ。俺が勇者となって、魔王討伐的なやつだな。
というか、王城って事は、ここは王都なのか? 中心地がすでに侵攻されてるって状況なのか?
もしそうなら、やる気がなくなるぞ……。
だがしかし、この世界が現実だと理解したからな。日本に戻るためにも受けないといけないか…………。
「ふん」
結局、俺のことを問いただせないままに、兵士たちの後をついていくのが納得いかないようだ。
「ご機嫌ななめだな」
「気安いぞ」
「俺はあんたを知ってるし、この世界の状況も理解してる。協力は大事だぜ」
「私はお前も、この世界とやらも知らん。これでは不釣り合いだ」
お堅いな……。
「遠坂 亨ってのが俺の名前」
「トール?」
「ああ、うん。トールでいいや……」
やはり横文字文化の人には、横文字っぽいのがいいのかね~。
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