寸劇(ハルトムート&グレイス)

ハルトムート

「ひ、姫様?」


グレイス

「黙ってついてきなさいな、生意気騎士」


ハルトムート

「えっ? ここは姫様の部屋……」


グレイス

「黙ってなさいと言ったはずよ?」


ハルトムート

(無言で頷く)


グレイス

「まったく、どういう耳をしているのかしら……。まあいいわ。脱ぎなさい」


ハルトムート

「えっ……えっ?」


グレイス

「何を妄想したのかしら変態騎士? 上半身だけに決まっているでしょう?」


ハルトムート

(上半身だけでも、十分アレな気はするのですが……)


グレイス

「まったくもう、ぎこちないわね。手伝うから、さっさと肉体美を見せなさいな」


ハルトムート

「光栄です――イタッ!」(尻をひっぱたかれた)


グレイス

「誰が口を開いていいと言ったのかしら? まったくもう……。ふう、やっと脱がし終えたわ。それじゃあ……えいっ」(ハルトムートに抱きつく)


ハルトムート

(!?)


グレイス

「いつも口の悪い姫様で、ごめんなさいね」


ハルトムート

(無言で手を後頭部に添える)


グレイス

「ふふっ、わかってるじゃない。ねえ、ずっと……こうしていて?」


ハルトムート

(グレイスを抱きしめる力を強める)


グレイス

「ありがとう、わたくしの騎士様。もう喋ってもいいから、私を落ち着かせて」


ハルトムート

「愛しています、姫様」


グレイス

「もう、すぐに調子に乗って……。けれど、わたくしも貴方の事を、愛しておりますわ」



 了

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