第4話 此処は神の職場 定時転生
さて…俺は別世界に転生し第2の人生を歩むことが決まった。
決まったはいいが俺は聞いてないことがある。
「ところで別の世界とは聞いたがどんな世界なんだ?」
第2の人生始めました→戦争真っ只中でした→徴兵→兵士コース
など勘弁してほしいしな。
また軍人というのはあまり好ましくない。
もともと俺は立場を振りかざすのが嫌いだし。
「ああ、そうですね。
まずはあなたの新たに生まれる世界について説明しましょうか。
ではとりあえず座って話しましょう」
そういうと神様は指を鳴らす。
すると俺のと神様を挟んだ位置に白色の椅子とテーブルが現れた。
そしてその椅子をちょいちょいと指さす神様に促された俺は椅子に座り神様に向かい合う。
「ではまず別世界の名前はリュミレシアと言います。
あなたの世界と違い魔術が存在し今は戦争などはあまりありません。」
戦争があまりないのは素直に良かったと思える。
…がしかし、
「魔術?」
「はい、魔術です。
あなたの世界風に言えば魔法ですかね」
「魔法ってあのお伽話に出てくる火を飛ばしたり竜巻をおこしたりするあれか?」
「はい、その認識で構いません」
そんなものが実在する世界か…もしかしたら俺は魔法使いになれるかもしれないということか。少し転生に対する楽しみが増えたな。
「そして種族ですが、人族と違うたくさんの種族が存在していますね。
獣人族に吸血鬼、竜人族に海人族、あとはドワーフやエルフなどが代表的ですね」
「そんなにあるのか」
「はい。ですが他種族と他種族は基本的に関わりあいません。
ですので種族については知識として授けておくので生まれ変わった後に参考にしてください」
「わかった」
ひとつひとつ確認していては時間がかかるし知識を授けると言っていた。つまりあとでわかるんだろう。なら後回しでもいい。
…しかしそんなこともできるのか……ん?
「なぁ…知識を授けることができるなら必要そうな知識を全部授ければいいんじゃないのか?」
俺は疑問に思ったことを聞いた。すると、
「確かにそうなんですが…知らないことを自分で知っていくのもまた人生だと私は
思いますので必要最低限の情報だけを与えるようにしています。
ですが…どうしてもというならできる限りの知識をあなたの頭に入れておくことはできますが…どうしますか?」
言われて気づいたが確かに最初からなんでも知ってるのは面白くないな。
それに他の人間と違い何でも知っているやつなんて怪しいにもほどがある。
せっかくの神様の温情でもらえる第2の人生なんだし、
神様の言うとおり自分で調べたほうがいいだろう。
「いややっぱりいい。話の続きを頼む」
「わかりました。
あとはそうですね…あなたの世界と違い魔物、魔人や魔神などが存在しています」
「魔物に魔人と魔神?」
これは完全に知らない単語だ。
「はい。簡単に説明すると世界は神が作り出したシステムのうえで形作られています。そして形作る際にプラスを作る際にはバランスとるように世界にマイナスが発生します。この世界では人や動物などをプラスとして生み出しました。そして…」
「魔物たちがこの世界のマイナス…か」
「はい、そうなりますね。
魔物たちは基本的に動物や人間を喰い、あとは魔物同士で喰らって進化し凶暴になります。だからそうなる前にいろんな種族で身の回りの魔物を狩っていますね」
「魔人と魔神は?」
「魔人は何らかの原因で人間が魔物になった姿ですね。
あまり生まれたことは無いのでもしかしたら生涯合わない可能性もあります。ですが非常に強力な力や体、魔術などをよくもっています。会うことがあったら気をつけてください」
「わかった。あとは…」
「はい、魔神ですね。
魔神は世界に生まれた負の神です。
今まで生まれた魔神は全て過去に封印され存在していません。
ですがまぎれもなく神であり普通の人間ではあらがうことは不可能でしょう。
一応人に興味がない魔神がいなくはないですが、人間などの悲鳴や恐怖などを好む魔神が大体です。戦う状況にならないようにしてくださいね」
「神の相手は神じゃあできないのか?」
そう聞いてみると神様は少し悲しそうな顔をして答えた。
「そうできればたくさんの人間たちが犠牲になることもなかったんですが…
私たち神は世界への直接的な干渉には制限が付けられています。
ですから神の力や加護などを人に託したりして干渉するほかないのです」
「なるほどな」
なるべく魔神には関わらないほうがいいようだ。
まあ封印されているらしいし大丈夫なんだろう。
そして気を取り直して神様が新しい説明を始めた…が、
「それでは次にステータスとスキルについ……」
『ゴーン!ゴーン!ゴーン!ゴーン!ゴーン!ゴーン!…』
ん?鐘の音?
突然白い空間内に鐘の音が響き渡った。
そして、
「あああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!?」
神様が叫び声を上げた。何かあったのだろうか?
「まずいっ!もうこんな時間ですかっ!
もう15分で定時の時間じゃないですかぁぁぁーっ!?
わ、忘れてましたー!」
……なんだろう。再び聞いてはいけない何かが聞こえた気がした。
「すいませんっ!。この空間はあと15分で使えなくなりますっ!
なので急ぎあなたをリュミレシアに転生させなければいけなくなりましたっ!」
……何言ってんだこの神様。
少し上がりはじめていた評価が落ちていく。
「あとのことはあちらでお伝えしますのでっ!それではいきますよっ!」
急展開だがどうやらすぐ転生して転生先で説明を聞くらしい…そこにいる神様のミスで。
ジト目で神様を見つめる俺である。
ちなみに神様はそれに気づき顔から汗がダラダラである。
「……はぁ…わかった。また後で」
「はいっ!また後で」
そう言った神様が手をかざすと周りに複雑な模様の光の輪が編み出され俺を包んでいく。
もうすぐ俺は転生するんだろう。…そうだ、そういえば…
「神様」
「はい?」
「あんたの名前は?」
そう尋ねると少しキョトンとした後に笑顔になり、
「はいっ!私の名前はスカーヴァティ!冥界と魂を司る女神です!」
聞き終えると同時に光に包まれる。
そして俺は転生した。新たなる世界へ
◆◆◆◆◆
―その後。
神の力が役目を終えて霧散するとともに彼女は視線を向ける。
そして彼の消えた場所を見ながら冥王神スカーヴァティは口を開く。
「願わくば……あなたが彼女たちと出会いともに救われますように」
言い終えた彼女は振り向きながら消えてゆきその空間には誰もいなくなった。
彼女の背から落ちた白い羽以外は。
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