エコー



あなたの黒い目がわたしを視るので


わたしはたしかにそこに存在することができる


あなたの耳がわたしの声を聴くので


わたしのことばはそこに存在することができる




わたしの黒い髪があなたの白い肌の上で渦を巻くので


あなたの手がわたしの体に触れるので


わたしは自分の体の境界を知る



あなたがなにか大事そうにわたしの体に触れるので


こんなものにも価値があるんだと思う



あなたの目を通して視たらきっと、


この世界はずいぶん輝いているんだろうと思うと


どうにも寂しくなって笑うしかなくて




「笑った」


と嬉しそうなあなたを見ると


なおのこと侘しくなって




どうしようもないね


わたしはただの残響、だから


あなたがいなくなればもう、空気に溶けるしか


ここに居続ける、方法が ないよ

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