絶孤

ひとりになりたい


 というのと


ひとりでありたい


 というのは にているようで ちがうのよ




だれもこない湖畔で寂しくボートを漕いでいるようなときの


絶無


をあじわうような


孤独に ひたるための ひとりと





あなたのそばで それでもたくさんのひとりのなかの


ひとり


であると


胸を張って


言えるような


ひとり、というのとでは


 天と地ほどの開きがあるのです。


    ようく覚えていてください。



 とあなたがいつかどこかで言っていた気がする。



  ぼくはいま、あなたのそばで、ひとり


   ほんとうの、ひとりを あじわっているわけだが




あなたはいまのぼくをみて、なんて言うかな。


 そんなことをかんがえてしまうぼくの


  弱さ、みたいなものを あなたは愛したわけだけども




愛とか、感傷とか、切なさとか、痛みとか


 今となっては羽根みたいなものだ。



 風に吹かれて飛んでいくだけの 重みもない。



寝台の上で目を閉じているあなたに


 コデマリの花をささげます。



ねぇあなた。



ぼくはいま、ほんとうにひとり、なのでしょうか。



 あなたからみて、ぼくは、ほんとうにたいせつな、


  せかいでたった ひとり になれたのでしょうか。





                      さよ う な   ら

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