第5話 転機
「…私の人生、終わるよ。」
足の爪も切りそろえ、髪を後ろで束ねた全体的に白コーデの私は、模範的な女性であった。天使ちゃんとふざけていたが、どちらかというと天使さんとお呼びした方がよさそうだ。
「あのう、流石にそれは言い過ぎ…じゃないかな。」
「議長ちゃんだって、本当はわかってるでしょ。」
「なんのことやら…」
天使さんは少し落胆したようにうつむき、蟻に話しかけるほどの小さな声でぽつりと言った。
「…ファイヤーマート松本二丁目店」
全員がごくりと唾を飲み込む音がした。ぬいぐるみ軍団はぴくりとも動かず、悪魔な私は苦い顔をしている。天使さんは暗い表情のまま、不敵に笑った。
「まさか、忘れたとは言わせないわ。あの地獄の日々を。」
天使さんはハンドクリームで保湿された両手で私の頬に触れた。私は邪な心を悟られないよう、目を逸らそうとして辞めた。天使さんの目には涙が浮かんでいたのだ。
「…また、同じ過ちを繰り返すの?」
私は膝から崩れ落ちた。
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