第13話 生き残れない
久しぶりに、戻ってくれば第一に子供ではなく、旦那さんに抱き締められる。
その勢いのまま押し倒されて、思わず笑った。
「遅い」
「ゴメンて。」
「馬鹿か。心配させるな」
「うん、心配してくれてありがとさん」
頭を撫でてやれば、胸に顔を伏せていた才造は顔を上げた。
その目の下には、隈が出来ている。
あぁ…寝不足にさせちゃったなぁ。
「此方側に、異物が出現した」
「え?なにそれ」
「知らん。」
「いやいや、知らん、じゃないでしょ」
「機械だとは思うが。」
機械?
首を傾げたら、体を起こした。
そして、乗ったまま真剣な顔付きになる。
降りて欲しいけどまぁ、この際それはどうでもいい。
「そこら中を暴れ回ってる。それを駆除する機関まで出来上がってる。どうする?」
「こちとらがいない間にまぁ、えらいこって」
「あぁ。数年経ったからな」
「え、あ、そっか。そうだね。ゴメンね」
「お前が神じゃなかったら、いいのにな」
「あら、久しゅう甘えん坊さん。」
拗ねたような様子が、これまた愛らしい。
そんなこと言ってる場合じゃないんだろうけどさ。
数年……か。
「放って置いて、こっちに何か害がありゃ片付けようかね。」
「いいのか?」
「大丈夫。一応、天狐作ってばらまけば。」
「機械が暴れてるのは、国外だからな」
「じゃぁ、国内に来ちゃうまではこの旦那さんのお世話をしましょうかね」
「名前で呼べ」
「おいや?」
「別に。構わんが、合わん」
数十年後………。
異世界の二息の間 影宮 @yagami_kagemiya
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