第4話

 『罪』には『罰』が与えられる。それは誰が言い出したことであろうか?


 シノジ=ザッシュとミサキ=シャンテリティは剣を交える。ミサキは師に自分を認めてもらおうと、必死に攻め立てる。シノジは立て続けに振るわれるミサキの長剣ロング・ソードを左手に構えた盾と右手に持った長剣ロング・ソードで捌いていく。


 防戦一方では、民衆に怪しまれると、シノジも攻撃に移る。だが、シノジの予想を超えて、ミサキは良い反応をする。さすがはこの武闘大会の決勝まで勝ち残ったことはある。


 シノジはミサキに剣の才能があることは師事をおこない初めていた頃から感じていた。この大会で勝ちを重ねることにより、ついにミサキの才能が開花したことが伺いしれるのであった。


 シノジは自分の血が沸き立つのを抑えきれない。よくぞ、ここま昇り詰めてきたと、ミサキを褒めたくてしょうがない気分になってしまう。


 互いの命がかかっている状況だと言うのに、ミサキは泣きながら笑っていた。ただ、師匠であるシノジに認められたくて。ただ、シノジが自分を気にしてほしくて。ただ、自分だけを愛してほしくて。


 その感情が剣に宿り、シノジに伝わる。


「ああ、ミサキ。そうだったのでござるか……」


「はいっ。師匠! ぼくは師匠を愛しているのですっ!」


 ミサキが丸盾を地面に投げ捨て、必殺の構えを取る。ミサキは両の眼から涙を流していた。


「行きます……。師匠っ。あなたに教わった全てをこの一撃に込めますっ! 神速九段突きナイン・ゴッド・ファングっ!!」


 ミサキは師であるシノジに教わった奥義を放つ。神域に達するほどの速さの連続突きがシノジの身に吸い込まれていく。ミサキの突きがシノジの腹を抉る。左の二の腕を抉る。右の太ももを抉る。左の眼を抉る。


 ただ無抵抗にシノジ=ザッシュは弟子であるミサキの全力を受け止める。ああ、よくぞ、この領域にまで武を高めてくれたと、シノジは感謝をする。


 ミサキのとどめの一撃がシノジの喉に向かっていく。シノジは残された右目から涙を一筋、流す。


皆殺しの剣オール・オーバー・キル……」


 シノジは口から血の泡を吹きながら、一言、そう呟いた。

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