ドロ色と青
イトシン【凡人】
第1話ー4400ー
私は古い冊子を閉じ、机の引き出しにそっとしまった。
私は端末に内容に合う画像を探すように指示した後、眠りに落ちる。
ー4400ー
「それで、どうすることにしたんだ?」
職員室わきの通路で部活顧問の多田が静かな声を出した。
「もう勉強に専念することにしました。」
「そうか、頑張れよ。」
わざわざ机を片付けた後にやって来たというのにその時間はは5分となく終わる。
どうやらコトの終わりというものは思ったよりもずっとあっけない。
僕は廊下の壁のシミにあいさつをして教室に戻った。
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「どうだった多田、なんか言ってた?」
「いいや、ガンバレだとさ」
「テンプレだな」
僕のような特別何かいい点を取れるわけではない生徒は高校最後の予選で負けると他の奴より早く受験モードに入る(ことが重要らしい)。
教室で僕の帰りを待ってくれていた佐藤は推薦で学校を受験する。
しっかり将来を見据えたやつの準備は高1の時から始まっていた。
「どうする?青春終了祝いにファミレスでも行くか?」
「いや、今日は帰るわ。受験モード1日目くらいおとなしく勉強しないとな」
「そうか」
僕は胸ポケットに差しっぱなしだったペンをペンケースにしまいながら自分に釘を刺す。
部活をしている生徒が大勢いるなか校庭の隅を歩いて正門へ向かう。
熱くなり始めた空気はある日を境に急に広くなったあの場所を思いださせる。
いつの間にか当たり前になる空っぽのあの感覚は校庭にいた僕らだけが感じるモノではなかったと今気付いた。
僕は昨日までは最寄り駅まで歩いてから乗っていた自転車に「今日からはもう少し働いてもらうぞ」と言ってペダルに足をかける。
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