第8話 日常の薄皮の上で

 とんでもない秘密を打ち明けられた翌日。遥はいつも通りの顔で、なんてことのないように学校にやってきて、何もないように1日を過ごしていた。


 僕はと言えば、その秘密の事を口にしないようにするのと、遥がそうまでして守りたい人のことを考えていた。


 「まぁ、普通に考えて家族だよな.......」

 「何が?」

 「うわっ?!」

 「驚きすぎでしょ。で、何が?家族?」

 「守りたい人って誰だろうなー...って、あっ」

 「ほほーう?気になると」

 「いや、別に。順当に考えて家族とかその辺だよなーと思っただけ、それだけ」

 「その誤魔化し方は怪しい...!白状しろー!!」

 「いや、ほんとなんでもないって!!!」


 そもそもここでその話、していいのかという。こちらとしては誤魔化さざるを得ない。そこにクラスメイトが乱入してきた。


 「んー?なんの話してんの?」

 「いや、なんでもな...」

 「小鳥遊くんが、私のこと気になるって」

 「えー?!まじで!」

 「いやちょっとまて?!そんなこといってないぞ?!」

 「えっ、違うの...?」

 「違う、断じて違う!」

 「そっか......」


 遥が落ち込んだ顔をする。


 「あー、小鳥遊、七瀬さん落ち込んじゃったじゃん」

 「いや、その.......そんなつもりでは.......」

 「くすっ」

 「ん?」

 「くっ、ふふふ、あっはっは、ひっかかったー!」

 「..........おまっ、一瞬まじで.......てめえ!!」


 見事に騙された。そして、遥がこそっと耳打ちする。


 「うまく誤魔化せたね」

 

 そもそもそっちが藪をつついたのだろうと思うのだが、ここは頷いておこうかと思った。


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