第2話 再会は春と共に

 どうしてこんな事になったのか。それを説明するには、まず今年の春まで時間を遡らなくてはいけないと思う。俗に出会いの季節とか言われる時期だが、クラス替えもない進級だけの場合、無関係だと思うのが普通だろう。


 始業式後のHRの教壇上で、担任の男性教師ややしなびたおっさんが「そいじゃ、転校生の紹介するぞー」とか言ったのが聞こえた。


 扉を開ける音と一緒に入って来た転校生にはどこか懐かしさがあった。どう見ても自分と面識があるように思えない、可愛い女の子なのに。しかもあちらもやけに「こっち」に目を向けている気がする。不可思議な。あとなんか教室はざわざわしている。そりゃ、ああも可愛けりゃそういう反応も当然かと思う。


「とりあえず自己紹介なー」と担任の時田おっさんが切り出すと、件の転校生が口を開く。

「はじめまして、本日よりこの高校に通うことになりました。七瀬遥と言います。どうぞよろしくお願いします。」

「七瀬の席はそこの空いてるとこな。隣近所のやつは色々教えてやれなー。」

「隣なんだね。よろしくね、。」


 こうして、転校生が僕の隣の窓際の席に座った所で、自分は自分を取り戻してさっきの既視感に納得をしたのだった。

 

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