ラストデイ

ラッコ

第1話 終わりの始まり

 テレビからキャスターの声でニュースが流れる。

「以前より衝突が予想されていたエレー彗星の軌道が再計算され、衝突が確定しました」

番組に出演している学者が、続けて説明をしている。

「衝突予定日は今年の最終日で、衝突後の生存確率は0.0000001%1億人に10人程度と推定されています」

「この星における現文明は、今年一杯をもって実質滅亡すると言って差し支えないでしょう」


 僕はその発表の後から続いた「滅亡を回避する手段は」だとか「生き残るにはどうしたら」なんて話の飛び交う番組をBGMにしながら夕食を淡々と食べていた。この星が滅亡するのに何を呑気な、という人もいるだろうが文明なんて歴史が証明している通り、いつかは滅びる物なのだ。たまたまそれが今年限りだっただけ。たったそれだけの事だと僕は思ったのだ。第一、今は師走なのだ。今更焦ってどうなるでもないだろう。


 ベッドに入って、明日どうしようか、学校はあるのかな、今年一杯で全て終わるのに学校に行ってどうするのか、などとぼんやり考えつつ、眠りにつく。


  きっと最後まで、なるべく普通に過ごすのだと思う。少なくとも僕はそうしようと


 

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