第4話 突撃! 二人で〇〇〇〇〇
その後も、二人で遊ぶ。
そんなこんなで夕食を食べて、終えた。
その頃には、時刻は夜の七時前になっていた。
暗くなる街の景色を見て、ふうかさんと遊ぶのもそろそろ終わりなのか、と名残惜しい気持ちを覚える。
また遊べるだろうか、という気持ちになる。また遊びたい。けれど、また遊ぶとき、俺はこの姿でいれるのだろうか。
ランプの願い事は残り二つ。俺がこの姿になれるのは、限りがある。
……というか今気づいたのだが、元に戻りたいで願い事が一つ消費され、再びこの姿になることでもう一つ消費されるとする。
となると、この時点で願い事はゼロになる。俺は元に戻れなくなるのだ。
そう思うと、ぞっとした。ふうかさんと遊べるのは、これで最後かもしれないと思ったのだ。
そんなことを考えていると、ふうかさんが優しく肩を叩いてくる。
「ど、どうしたんですか?」
慌てて反応してしまう俺。
「いや、ちょっと寄って欲しいところがあってね」
ふうかさんは柔らかい笑みを浮かべて言う。
「あ、それなら、行きましょう」
俺がそう返すと、ふうかさんはにこりと笑った。
「ありがとう。のまのまさんは優しいんだね」
「い、いやそんなことは」
ふうかさんの大人びた、落ち着いた相貌から繰り出される笑顔。そして優しい言葉のコンボはかなりの威力がある。俺はどぎまぎしながら、言葉を返すのだった。
俺たち二人は繁華街を歩く。繁華街といっても、商店街と銘打たれているので、商店街と言うべきだろうか。
飲食店が多数建ち並び、カラオケやゲームセンターなどもある。
商店街、と言うにはその店のレパートリーは似つかわしくないだろう。あまりにも、人々の日常からは乖離している商店街なのだ。
飲み、食べ、遊ぶための商店街。これを繁華街と言わずして何と言うべきか。
しばらくして繁華街を抜ける。すると、今度は歓楽街に。
駅の方向とは少し違った場所に向かっているので、俺はどこに向かうのだろうか、と疑問を抱く。
そして。
「はい到着」
ふうかさんが立ち止まり、ぽつりとそう言った。
「な、え、え」
俺は目の前にある建物に驚き、言葉が出てこない。
というのも。
「……ここですか?」
「ええここです」
「そ、そっか。……ここ……」
俺の目の前には、ラブなホテルがあったのだ。
休憩何時間何円なんて書かれている看板があるホテルだ。
何故か知らないが、入り口が二方向に別れているホテルだ。
「ええっ⁉ ここですか⁉」
俺は思わず驚いた声を出してしまう。ふうかさんは何度か見せた柔らかい笑みを浮かべて首肯した。
「ええ、ここが目的地よ。それじゃあ、入りましょうか」
「え、え、ええ」
俺は言われるがまま、手を引っ張られて中に入るのだった。
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