第5話

マルチナは、シンデレラの後を追いました。


彼女が入っていったのは、大きなお屋敷でした。ここで、シンデレラ(ティーナ)は幸せに暮らしているのだとマルチナは思いました。


しかし、ひとつだけ気になった事がありました。それは、シンデレラの服装でした。シンデレラは可愛らしい女の子でしたが、彼女が着ていたのは、ボロボロの衣服で、とてもこのような、お屋敷の娘が着ている服とは思えない物でした。


不安になったマルチナは、お屋敷の隣の家に住む人に、シンデレラの事を聞きました。


それを聞いたマルチナは驚き、悲しみました。ティーナは裕福な家にもらわれ、優しい両親と、なに不自由なく暮らしていると信じていたマルチナは、胸が張り裂けそうな思いでした。すぐにでも自分が本当の母親だと名乗り出て、シンデレラ(ティーナ)を連れて帰りたい、しかし、マルチナには、どうする事も出来ませんでした。


シンデレラの事を、ただ見守る事しか出来なかったマルチナは、ある日、シンデレラの願いを知りました。それは、お城で開かれる舞踏会に行きたいというものでした。


マルチナはどうしてもシンデレラの願いを叶えてあげたいと思いましたが、これまでの旅で、お金をほとん ど使い果たしていたマルチナには、舞踏会に出るためのドレスも、宝石も、馬車も用意する方法はありませんでした。


そんな時、マルチナは街で、ある噂を耳にしました。


それは、北の山に住む魔女の噂でした。藁にもすがる思いのマルチナは、岩肌のむき出しになった険しい山を登り、魔女に会うと、ある条件と引き換えに魔法が使えるようにしてもらいました。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る