第3話
ティーナの住む町は、街並みの向こうに立派な、お城の見える、とても、にぎやかな町でした。
しかし、ここまで来て、マルチナは困ってしまいました。
〈ティーナ〉はマルチナが勝手に読んでいる名前で今の彼女には違う名前があるはず、唯一、ティーナを見分ける手がかりは、マルチナがティーナの足首に付けたガラスの御守りしか無かったのです。それさえ、今も付けてくれているか分からない、不確かなものでした。
たくさんの人々が行き交う市場を歩いているとき、マルチナはよそ見をしていて、一人の少女にぶつかってしまいました。道に倒れた少女を、慌てて抱き起こそうとしたマルチナでしたが、あまりの驚きに身体が硬直して動けなくなってしまいました。
倒れた拍子にスカートが捲れ、見えた少女の足首には、15年前、マルチナが生まれて間もないティーナの小さな足首に結んだ、ガラス玉の御守りがあったのです。マルチナは少女の籠からこぼれた物を拾い、立ち上がると震える声で聞きました。
マルチナ「あなた……お名前は?」
少女「……はい、シンデレラです」
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