スズメが鳴いていたので。

 一羽のスズメが、鳴いています。一羽見つけたと思ったら、二羽目がやってきます。そして、続いて三羽目。集まったかと思うと、パッと突然どこかへ飛び立ち、視界から消えて行きました。


 あの三羽は、待ち合わせをしていたのでしょうか。どこか出かけよう。あの木においしい実がなってるらしいですよ。おおいいね、じゃあそこへ行こう。明日の〇〇時にここに集合な、という具合に。彼らは人間のように話すことはできませんが、もし話せていたら、このように会話をしていたのでしょう。想像してみると、楽しいですね。


 私は、いつものように散歩していました。休日なので、のんびりです。天気もいいので、とても気持ちいい午前のひととき。だから私も羽を伸ばすいいチャンスなのです。


 ところが、それを妨げるように、私のスマートフォンに入る連絡。一体何なんでしょう。見てみると、「もう待ち合わせ時間を過ぎている」とのメッセージ。そうだ、約束したのでした。遊びに行く約束を。ものの見事にそれを忘れ、一人で羽を伸ばそうとしていた私でした。どうやらスズメにすらできていた待ち合わせが、私にはできていなかったようです。


 私はあわてて自宅に戻り、支度をして出かけました。メッセージには「ちゅん」と返しておきました。

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