朝カフェ夏ばて炒飯



葵さんに喫茶店の店番を任されてからというもの自分の味でコーヒーを淹れていったらいいと言って貰えたのはいいけど、未だに自分らしいコーヒーの味のが分からず色々と模索していたら夜通し喫茶に籠ってしまい気付けば朝を迎えていた。夏の厳しい暑さに頭がどうにかなりそうでこのまま開店させても良いコーヒーは振る舞えないなと思い気晴らしをに朝カフェにコーヒーを飲みながら涼みに行こうと新潟駅前周辺まで早朝の物静かな雰囲気を楽しみながら散歩も兼ねて来ていた。

そこで思わぬ人と遭遇したこの前突然オレの前へと現れた魔道士のコスプレをした女の子が目の前からトボトボと歩いてきたのだ。

「あ!君はあの時のー。あれからどうしてたんだ。いきなり出て行ってそれっきりだったから心配してたんだ。」 「何を言っているんですか私の方は赤の他人であるあなたに心配してもらわなくたって…」

「それよりここはどこなんですか?レスポランは?似たような街の作りだとは思ったけどどこまで行っても高い建物が立ち並ぶだけで建物があるだけだしと思ってもにお金は使えないわで自由に食べ物は食べれなくて何処へ行っても厄介者を見る目で追い払われるわでもうなにがなんだか...」

よくよく彼女を見ると以前と比べて頬はこけてるし着ている服だって何日も同じ服を着続けているのか薄汚れてい何だか少し臭う。「君、家には帰れてるの?まともに食事だってできてないみたいだし、君は一体...」

「あなたに名乗っていいものなのかと思うけど一応名乗っておくとレスポランでしがない冒険者の職探しをやっていて絶賛パーティーを募集中なの。マシロ=サニースプリングと言えば少しは名前が通っていると思うんだけど(悪い意味で)」

「レストラン?職探し?今は求職中ってことでいいのかな。」

「もし、よかったたらだけどこれからうちの店に来ないか?立ち話しもなんだからそこでゆっくり君の話を聴くとするよ。いいかな?」彼女は少し困ったような顔をして「そんな彼女が断ろうとしたときお腹の虫の音に遮られてしまってお腹を押さえてしゃがみ込んで黙ってしまう。

「うう…」

「どうやらお腹の虫は嘘はつけなかったみたいだな!」

「こ、これはちが…」

「腹が減ってはなんとやらだ。うちの店でよかったらおいで。」

                *


「さあ座ってくれ!簡単な料理とコーヒーしか出せないけど、くつろいでいってな。」そう言っ彼女を喫茶SERENAへ連れて戻り、カウンターの中央席へと案内する。「あれ?お客さんは私、一人なの?」と不思議そうに眼を丸くして椅子へと腰を下ろしながら彼女は訊いてくる。外はあんなに暑かったのに店の中は涼しくて丁度いいくらいに空調がきいていて快適だった。「そうだな。お客は君一人だけだよ、まだ開店前だからさ。」「だからなにを話しても聞いてるのはオレだけだから気軽になんでも話してくれていいからな」

「そっか私、一人だけか…」そう言ってしばらく黙ってしまう「ちょっと待ってな今、ささっと炒飯でも作ってしまうから!」「食べれるか?味付けはどんなのが好きなんだ?君の味の好みはあったりするかい。」キッチン入る前にマシロへと味の好みを確認しておこうと訊いてみる。

「それじゃあ、ちょっと暑さでばて気味だからが味が濃すぎなくて食が進むもの…」と遠慮なく注文する。

「なんだ細かいオーダーだな、わかった。ちょっと待ってな待っててくれ。冷蔵庫の中身と相談してみるから」と言い残してキッチンへと進藤は消える。「残り物のごはんと、卵にハムとレタスかーおっこれとこれも入れたらいいかも…」なにやら冷蔵庫をあさり調理を開始する。

「最後にレタスを入れて余熱で軽く炒めて...よし完成だ!」

「はい、お待ち!彼女の目の前へと出来立ての熱々の炒飯を差し出す。「シャキシャキレタスのネギ塩レモン炒飯だ。」

「塩とレモン汁を隠し味に入れて暑さでばてた人でもサッパリと食べやすいようにしたんだ!」そう言って彼女がレンゲを持ちゆっくりと嚙み締めるようにレタスをシャキシャキといい音を立てて味わい食べているのを見て口にあ合ったみたいでよかったと肩を撫で下ろす。彼女は気持ちが落ち着いたのか一端幸福感の余韻に浸ったように目を細めてレンゲを置くとおもむろに重たく閉ざしていた口を開く、「この世界の人は皆冷たかったのになのになんでアナタは私に優しくするの?こんな暖かい料理まで作ってくれて」元いた世界でも、私はコミュニティ省かれ、この訳の分からないせかいでも今まで散々冷たくされてきたのにと疑問を口にしていた。「それは君がお客でオレの淹れたコーヒーを美味しそうに飲んでくれたから。それだけで君はオレにとってはもう大事なお客さんなんだからな。」とそう告げる。

「そう、なんだ。とそんな風に思ってたんだ。実は私さ今まで周りの人から異質なものを見るような目で見られてパーティーに入れてもらえないでこうして誰かから優しくされるなんてなかったから」

「だから、今まで一人で突き進むしかなかったんだ。それで少し力を手にに入れたらすぐに調子に乗ってしまうし」

「うん。そうなんだ」オレは彼女のか細い言葉を聞き漏らさないように聴き、相づちを打つ。「それで気付いたいたらこの世界に迷い込んでしまうしさ、自分の明日の生活すらまともにおくることが出来ないしもどうしたらいいかわからなて駄目だよね、私って…」

進藤は彼女の言葉が終わるとゆっくり、優しく口を開く「君は今まで思うような結果が出せていなかったんだな。でも君は自分が思っているよりも凄い人だと思うな。君が今まで一人で頑張ってきたことは誰にでもできることじゃないし、オレだったら一人で委縮いしゅくしてしまって何もできなかったと思うからさ。」「そんなことをしてきたマシロはもっと誇ってもいいと思うぞ。」ありのままの受け取った進藤はそう爽やかな笑顔で返す。

「そっか、私がしてきたことは間違ってなかったんだね。よかった、よかったぁー」とマシロはほっと安堵する。そこで進藤は

「もし、よかったらだけど、行くところがないんだったらうちの店で住込みで働かないか。今、ちょうど店員スタッフを探してたんだ。」 オレ一人だけでは大変だから…」と受け入れてくれるか不安になりながら訊いてみる。

「それはできない。ひとまず今回のご飯代は働いて返すよ。だって、わたしは…」

「君は…」

「わたしは魔導士アメイジスト魔女をあの世界に魔女をのさばらせてここでのうのうと働いてなんていられないの」

ガタンと椅子から立ち上がり店から出ていこうとする。「待って!君はあの日こことは違う世界からやってきた異世界人ってこと?」「信じられない話だけど君がそう言うなら仕方がない、オレも君が元の世界に戻れる手段を一緒に探していく!」立ち去ろうとしていた彼女は疑いの目でこちらを見つめてくる。

「信じてくれるなんて、今迄誰に言っても信じてもらえなかったのに。」「何かの罠じゃない、よね。」

「そんなわけあるか!いいかそれならここに契約しよう。異世界人との雇用契約。ここに交わそう!」

と異世界の魔道士と雇用契約を交わした朝のことだった。



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