第七楽章

 翌日、ネモの最終試験が行われた。ネモの戦力は総合的に評価され、ハウエバー氏のお墨付きをもらうことができた。

 これで彼との契約は終了となり、今後は我々が開発した兵器のテストに移行することになる。

「お疲れさまでした、ハウエバーさん」

 ジョエルが声をかける。ネモが最終試験をパスしたことで、彼も上機嫌だ。

「契約はこれで終了ですが、今後はどうするんですか?また次の戦場へ?」

 私の部下の問いにハウエバー氏は、

「しっかり稼がせていただいたのでしばらくはのんびり過ごしますよ。バカンスとか考えてます」

「そりゃあいいや!バカンス先の写真でも送ってくださいよ。僕らは次のフェイズが始まるからまだまだこのラボに缶詰めですから」

 そんな風に笑いあう二人。それを少し遠くから眺めていると、ハウエバー氏が私の視線に気付いた。彼はウィンクで応えた。そんな気障な振る舞いも彼なら嫌味にならない。

「主任!今後のスケジュールですが……」

 隣にいた部下の言葉に私は我に返って仕事に戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る