第3話 遭遇

「マジかよ....」

 その悪魔の言葉に耳を疑った。

 俺は光速で玄関まで移動し、入り口のドアを勢いよく開けて外に出た。その瞬間。

 ドゴン!バキバキバキ!

 後ろから耳をつんざくような巨大な爆音が聞こえた。

 振り返ると本当に巨大なモンスターが家に直撃していた。

 激突したモンスターは竜のような見た目をしていているがちょっと違う。体は静脈の血のような赤黒い色をしていて、首が三つ又に分かれ、その顔に目はない。顎がたくましく、唇が大きい。

 奴はきょろきょろと顔の向きを変え俺の方を向いた。その瞬間、今までに感じたことのない嫌な予感がしたのですぐにその場から離れた。

 その予感は的中した。目のないその顔は俺に直進してきた。その大きい唇を開けた三つの首は、かつてないほど恐ろしく、この世のどの形容詞を使っても表現できないだろう。

 近くにあった建物と建物の間の細い路地に入り身を隠し、ひとまずは難を逃れた。

「やはりヤバい」

 俺はこの世界で生きるのは一筋縄ではいかないと確信した。

 あの三つ首の竜が近くに居ないことを確認したら、ここら一帯に人がいないか探すことにした。

 いつモンスターが現れるか分からない中での捜索はスリルの塊だった。

 ドギマギしながら捜索を続けていると、ようやく人の後ろ姿を発見した。その背中に少しずつ近づきながら声をかけた。

「あのー、ちょっとお話よろしいでしょうか?」

 声をかけるとその後ろ姿はこっちを向いた。

 こっちを向いたその顔は間違いなくひとではなかった。黄緑色の皮膚、充血した眼、つぶれた鼻、間違いなくモンスターだ。その顔は俺の顔見るなり叫びだし、俺の首にかぶりつこうとした。

 このままでは命は無い。餌になるのを覚悟した時、モンスターの動きは急に止まった。よくみるとモンスターの体には槍が刺さっている。

「どうだ、大丈夫か?」

 ふと見上げるとそこには美しい好青年の姿があった。

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悪魔に魅入られた男 小梅順太郎 @MGGL-T

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