無題のドキュメント
韮崎旭
無題のドキュメント
忘れさせてほしいのかもしれないが。
合法的に狂わせる、適法的に破壊する。
苦い日誌をかみ砕いた、名無しの行方を誰が知ろうか?
甘い病身をささやいた、昼の行方は鎮静剤。
去ったものはないも同然に醜い瘢痕。
消去法で失笑し、高射砲塔の残骸のノスタルジア。
屍に語る呼び声はなく、触法行為はばかばかしい、しらけた道連れに消えた。
浅い呼吸が夢を見て、それはすなわち麻酔そのもの。
忘れるすべを知るならどうぞ、駅員までご連絡ください。
硫化物の臭気で吐きそうだが、朝日の害悪にみまえる順路、塩の海に沈む感想文。
隙間ばかり探してうずくまるのか、定かではない障壁に憧憬を転写する。
嘆きに似た造花は、片頭痛の緩慢な潮汐。
夕刻に指し示す逝き先に、奇妙な安堵と些細な恐怖を添えるのだろう。
対照的に表情を砕き、表面的に厭世を語る。
その舌はどこまで不誠実か? 水銀の雨と硫砒鉄鉱の反射、
暗い快活を口にして、夜の沼沢地にはただ平穏を、献花を、私自身の葬式を。
明らかさを必要とはしないだろう。
詳細さでも美しさ、崩壊したら観賞へ。
遠い自戒を叩き割った、私の真意をどこに見ようか?
あわいにはない狂疾と、軽い自決は何もかもをあいまいに巻き込み、
世界は簡単に反転して、
別れにあいさつはいらない。
無題のドキュメント 韮崎旭 @nakaimaizumi
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