「さよなら」までのカウントダウン(2)

学校から帰ってきて、まずサマンサの家に上がり込みます。

お父さんもお母さんも、夕方より遅く帰ってくるので、サチはお母さんが帰ってくるまで、サマンサの家で過ごしていました。

でも、ナナミちゃんたちと“友達”になってから、少しサマンサの家から、足が遠のいていました。

みんなが習い事や、塾に行く日は、いつものようにサマンサと過ごしていました。

なので、もうサマンサは家の中の色々な物を、少しずつ片付けをしていました。




いつ“約束の日”が来ても、良いように。




「ただいまー、サマンサ!」

サチが元気よく、学校から帰ってきました。

「お帰りなさい、サチ」

サマンサが、台所の奥から声を掛けます。

勝手口のドアの近くに、バニラのいい香りがする、ポプリが掛けてあるのですが、それを外そうとしていたのでした。

サチが台所で、うがいと手洗いをしている間に、サマンサは部屋にいくつか掛けてあったポプリを、全部外して、いとおしそうに撫でてから、そっと荷造りしている段ボールの中に、入れたのでした。


サチはいつも、ちょっとお行儀が悪いですが、台所でうがいと手洗いをして、サマンサの手作りのチョコチップクッキーと、ホットミルクでおやつにしていました。

サチは、今日はちょっと、そわそわしているように、サマンサには感じられました。




「サマンサ、わたしね、友達、出来たよ」




恥ずかしそうに。

照れたように。

でも、とても誇らしげに、胸を張って。

目をキラキラさせて、サチはサマンサに報告しました。

にこにこと顔をほころばせて、鼻歌でも出てきそうな顔をして。


もう、大丈夫なのだと、サマンサは悟りました。

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