第一話 大会の強者達

僕の下駄箱にあの紙切れを入れられてから一週間後、つまりは今日が大会当日だ。


大会には予選と決勝があるんだけど予選は何事も無く突破出来たよ。

それで今は他のブロックの予選待ちなんだ。


僕達やライバル達を説明する前に大会の説明をさせてもらうね。

この大会は学校のイベントで、必ず二人一組で出なきゃいけない。ここまでは前に説明したよね。


大会に出ると、まず予選として四つのブロックに分けられるんだ。ちなみに僕達は今回Bブロック代表だね。


予選通過すれば僕達みたいにブロック代表になるんだ。ついでに言うと、特別賞は各ブロック代表が貰えるんだ。


つまりこれで烈火の目標は達成されたから、残りは優勝するだけ。

そうこうしている間に他の予選が終わったみたいだね。


「条!他の奴らを偵察しに行くぞ!」

「あ!烈火待ってよー!」


ここで追加説明

予選まではトーナメント方式だったけど決勝は総当たり戦なんだ。

だから偵察はとても重要…




なんだけど烈火にとっては挨拶周りの様なものだけどね。


「榊先輩!今年もよろしくお願いします!」

「おぉ!暁か、お前出ないって聞いていたがどうした?俺が恋しくなったか?」


この人は榊先輩。去年もブロック代表で僕達も戦ったことのある強い先輩だ。

確か"特異"は手に持った無機物を一回のみ操作できるとかだったっけ?


「に…にいちゃん、この人達は?」


榊先輩の後ろから顔を覗かせた少年は僕達もはじめましてだ。


「造!コイツらはな俺の後輩でお前の先輩だ!しっかり挨拶しろ!」

「は…はじめまして、さ…榊造(さかきつくる)と申します。お手柔らかにお願いします。」

「へぇー榊先輩の弟さんとは思えないほどなんというか暗いというか…」

「烈火!それは流石に榊先輩に対して失礼だよ!」

「いいんだいいんだ、よく言われる事だからな、それよりも今年は俺たちが優勝だからな!」


榊先輩は笑いながら僕達に宣戦布告した。

こういう所が榊先輩が好かれる要因なんだろうなと思う。

側から見ると完全にヤンキーだけどね。


「さて、次は氷室の所だ、行くぜ!」


次に行くのは氷室零一(ひむろれいいち)と雨宮蒸(あめみやじょう)のペアだ。

この二人は去年の大会で僕達に次いで2位だった強豪ペアだ。


「おー!氷室!ここに居たのか!」

「暁君…君も出場したんだね。」


氷室君は眼鏡を上げて僕らを見た。

氷室君の"特異"は物質を凍らせる能力。これまた烈火と同様に色んな要素から成り立っているらしいけれど難しい話だから割愛する。


「雨宮はまた放浪か?あいつも飽きねぇな。」


氷室君のペアの雨宮君は放浪癖のあるマイペースな人だ。

それでも案外しっかりしてるから誰も心配はしてないんだけどね。


雨宮君の"特異"は水蒸気を一点に集める事が出来る能力だ。

一見すると弱い能力だけど氷室君と組むことによって真価を発揮する。


「…君たちはBブロックだったっけ?僕達はCブロックだから二回戦目に戦う事になるね。」

「そうか、よろしく頼むぜ。」

「こちらこそよろしく頼むよ。あ、そうそうDブロックの方々は今は外出してるそうだから居ないらしいよ。」

「サンキュー!ありがとな!」


僕と烈火は氷室君の元を後にして、第一回戦の榊兄弟戦に備えた。




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