紫の夜を越えて/スピッツ について

 たまにはタイムリーな話題で書こうと思いました(数日遅れ)。


 スピッツがメジャーデビュー30年を迎え、新曲を発表した。いきなり脱線するが、スピッツこないだも30周年してなかった? と思った人は間違ってない。三年前のアニバーサリーツアーはメンバー50歳バンド結成30年を記念したものだ。


 今回は新曲「紫の夜を越えて」について少し語りたい。


目次

1.曲名について

2.曲調について

3.歌詞について

4.その他



1.曲名について

 わりと珍しいタイトルだ、というのが第一印象。

 スピッツにしては長めの曲名。一単語や漢字一文字の曲名も多い中で異彩を放っていると言ってもいい。シングル曲では他に「放浪カモメはどこまでも」「君が思い出になる前に」「ひなたの窓に憧れて」などがある。カップリングやアルバム曲を含めるとまだまだあるけれど、それを考慮しても長めである。


 メッセージ性も強く感じる。

 越えて、という強めの表現を使っているのが、まず珍しい。

 スピッツの曲では大きな状況や環境の変化が示唆されることは少ない、と思う。基本的にのである。あるいは続くことを望んでいる。他の曲の歌詞だが「まだまだ醒めない」「幻よ醒めないで」「夜は続く」……などなど。

 「虹を越えて」という曲もあるが、これはぜひ歌詞を検索してほしい。前向きとは程遠い(それがいい)。

 夜は負の側面を持つ場合が多い。転じて夜明け、つまり紫色に変じつつある夜は試練の打破を現していると考えることもできる。コロナ禍を背景とした曲であるというのは、想像に難くない。



2.曲調について

 比較的ロック寄りのスピッツである。教科書で「チェリー」を学び「優しいあの子」で初めてスピッツを意識したくらいの人には意外だったのではないだろうか。この曲に惹かれた人は将来有望だ。ぜひ手始めにシングル曲の「ホタル」「さらさら」あたりを聴いてほしい。


 イントロはアルペジオから始まる。なんなら全編アルペジオ祭り、つまりいつものスピッツだ。「あ”ー! これこれ!!」となったスピッツファンは多かろう。私はそうなった。相変わらずベースはわけわからんうねり方をしているし、ドラムはやたら手数が多い上に緩急強弱の表現が鮮やかすぎる。骨太でシンプルなバンドサウンドに繊細かつ芯のあるボーカルが映える。

 落ち着いた優しめのメロで始まり、「紫の」で一気に盛り上がりへ向かう。スピッツの曲にはよく見られる、メロサビメロサビ間奏大サビ、という感じだ。好き。

 雰囲気と構成は「ヒビスクス」や「さらさら」に似ているように思うが、より優しく明るい風にも感じる。大サビの最後、畳みかけるような盛り上がりが気持ちいい。


 あんまり音楽に詳しくないからこれ以上記事にできない。好きとしか言えない。



3.歌詞について

 わかりやすそうな比喩と難解な比喩が交互に来て頭がおかしくなる。つまりいつもの草野正宗だった。

 しかし、サビの「紫の夜を越えていこう」は実のところ意外だ。「越えて」までは曲名にもある通りだが、「いこう」は呼びかけているようにも聞こえる。これほど前向きなエネルギーを感じるのは「けもの道」以来だ。それを好ましいと取るか、らしくないと取るかは聴き手次第だろう。私はそういうの楽しめる方なので人生が楽しい。


 意外な部分も多いが、相変わらずだなぁと感じるところも当然多い。全編、草野節である。引用しまくって「いつもの草野さんでしょ」とやろうかと思ったが、無粋すぎるのでやめた。



4.その他

 ・相変わらず金のかかってなさそうなPVだった(超失礼)。

 ・とはいえ、演奏しているだけで様になるのはさすがというべきか。全身黒をまとっていたのは珍しい。草野さんイマイチ黒似合わないな、と思った(超失礼)。青とか白が似合いすぎているという面もある。三輪さんはさすがだった。いつかまた黒鳥ファッションを見せてほしい。

 ・youtubeで行っていた生放送ラジオが面白かった。

 ・スピッツの皆さん身体強くなさそうだからコロナには気をつけてほしい(余計なお世話)。

 ・最近スピッツのベースコピー動画を見ている。ギターソロの後ろで好き放題してるのがわかって楽しい。



 以上。スピッツはいいぞ。

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