　オススメ6選じゃ物足りない！（オススメする側が）

　ということで勝手に番外編です。音楽だけじゃなく、ゲームやアニメにも言及するのでめっちゃ長くなると思います。

・Day After Day／FreQuency

　ソウルシリーズで有名なフロムソフトウェア（以下フロム）の「アーマードコア　ヴァーディクトデイ」（以下ACVD）の楽曲です。製作はフロムの作曲チームFreQuency（フリーケンシー）、販売もフロムの自社レーベル。

　楽曲内容は打ち込み多用のロックミュージックにバイオリンがアクセントで入ったような感じです。ACVDは傭兵がロボットを駆って殺したり殺されたりという殺伐とした内容なのに、音楽は爽やかかつ切なさがあり、絶妙にマッチしています。ACVDの前作辺りからFreQuencyに加入したバイオリンが素晴らしい。ニコニコ動画のコメントで「空を舞うような旋律」という文言が目に入ったのですが、まさにそんな感じです。かっこよい。

　ドラムがイマイチ上手じゃないのと、ボーカルが清々しいまでのジャパニーズイングリッシュなのが玉に瑕ですが、まぁゲーム音楽だし、という感じ。あとMVもあります。ゲーム会社作成だけあって凝ったCGが使われているところと、ゲーム会社勤務でカメラ慣れしてない方々が頑張って演奏している姿に趣を感じます（オブラート）。私は好きだよ？

　タイトルのDay After Dayは直訳すると「来る日も来る日も」となります。ACVDは最終的に、戦いは人類が滅ぶまで延々と続いていくことが示唆され、その内容にも合っています。

　余談ですが、戦い続けることがテーマのACVDを最後にアーマードコアシリーズの開発が途絶えているのは皮肉めいています。フロム、俺は待ってるからな……。

・CHRONO CROSS ～時の傷痕～／光田康典

　スーファミ時代の傑作「クロノトリガー」の続編「クロノクロス」のOPテーマ。旧2chから開催されていた「みんなで決めるゲーム音楽」初代王者。というかゲーム音楽が好きなら知らない人間なんかいなそうなんだけどわざわざオススメする必要あるのこれ？

　クロノクロス自体は賛否両論ある内容ですが、音楽が素晴らしいという点に異議が出ることはまずないでしょう。その中でも「時の傷跡」は抜群に素晴らしく、二分半程度のボリュームにして音楽に必要な要素が200%詰まってるような曲です。

　ボーカルはなく、民族楽器から日本の尺八、その他バイオリンやキーボードなど様々な楽器が使われつつ、それらが絶妙に絡み合ってグルーヴを生み出しています。クロノクロスは初代PSゲームなのでグラフィックはそれほど優れていませんが、むしろ技術が未熟だった時代に開発者が工夫を凝らした非現実的なまでに美しい映像が素晴らしく、OP映像と一緒に見ることでカタルシスすらえられるでしょう。ただネタバレ集みたいなOPなので未プレイ者は気をつけること。

　海外のオーケストラなどでも演奏されている、国内外で高い評価を得ている曲です。聴かなきゃ損！　なんて文句は嫌いなんですが、これに関しては別。聴いた方がいいよ、ほんと。

・キミの記憶／川村ゆみ

　アトラスの大人気シリーズ「ペルソナ」の三作目、「ペルソナ3」のエンディングテーマです。

　オススメとか銘打っておいてなんですが、ぶっちゃけ曲自体に特筆すべきことはありません。自分「君」を「キミ」にしたり、「そう」を「so...」にしたり、「～くらい」を「cry」にかけたりするような歌詞はクソほど嫌いなので。

　じゃあなにがいいかっていうと、メロディラインですね。

　私は前情報なにもなくプレイしていたのですが、エンディングを迎えたとき胸を打たれました。この曲のメロディ、ゲーム中に使われているフレーズが集合しているんですね。というか、この曲ができてから、ゲーム内BGMで同じフレーズを使ったんだと思いますけど。

　そのため、音楽を聴きながらプレイ中の思い出がフラッシュバックするんです。プレイ時間が100時間くらい余裕でいく内容なので感動もひとしおです。メリーバッドエンドなエンディングなのもあり、余韻がすごかったですね。再度言いますが、曲自体は結構普通です。でもゲームの一要素となることで素晴らしさが段違いになる。ゲーム音楽の真骨頂という感じでした。ぜひ未視聴のままゲームを通してプレイして最後に聴いてほしい。

　余談ですが、キタローの愛称がついているペルソナ3の主人公、私のツボど真ん中でした。諦観、間違った決意、という要素に弱いんです。それが様々な経験を経て覚悟に変わっていく過程なんて格別でしたね。ペルソナ3の主人公は言葉を発さないため脳内でロールプレイングしがちで、感情移入もすごかったです。中二のときにプレイしてたら取り返しのつかないことになってた。危なかった。

　もう一つ余談ですが、私はペルソナ3のギスギス感は好きでした。仲間は仲間であって馴れ合いではない、みたいな。ペルソナ4は仲良しすぎて逆にしんどかった。

・遥かな空へ／浜野和子

　知る人ぞ知るPS2の神ゲー「スカイガンナー」のOPテーマ。

　ニコニコ動画のコメントいわく「魔女の宅急便みたいな世界観で、ラピュタっぽい乗り物に乗り、紅の豚をやるゲーム」。言いえて妙。

　プレイしたのが随分前なので正直あんまりおぼえていませんが、曲とOPアニメの出来が超素晴らしかったことだけは今でも鮮明におぼえています。アニメは有名な会社さんが手がけたとか見かけたような気がする。あと世界観がすごく凝っていて、キャラクターは鳥から進化した人間とかそういう感じじゃなかったかな？

　曲は、柔らかく伸び上がるボーカルが心地よい。それでいて間奏に差し掛かるところでハードな盛り上がりを見せる素晴らしい楽曲です。歌詞もいい。こういう言い方はアレですけど、ゲーム音楽にしておくのがもったいないくらい。

　また余談ですが浜野和子さんは「いすゞのトラック」の歌も歌ってらっしゃるみたいですね。そっちも無駄にいい曲なのでオススメ。

・黄昏ジュヴナイル／遠藤ゆりか

　ゲーム「魔都紅色幽撃隊」のエンディングテーマ。

　ゲーム自体はね……控え目に言って微妙でした。九龍妖魔學園紀という神ゲーの監督さんだという期待感も合って、厳しい評価をする人も多いんじゃないでしょうか。私も正直購入はオススメしません。

　ただこのゲーム、ロック調のBGMが素晴らしいです。まぁFFシリーズで有名な植松伸夫さんが手がけたOPだけなぜか微妙でしたが。エンディングの黄昏ジュヴナイルはボーカルのかっこよさに小気味いい演奏がマッチしています。特にハーモニカの音が効いてますね。ゲームはつまらなかったけどこの曲がよかったからトントン、なんていう人もいるくらいです。私はサントラはあんまり買わない人間なんですが、このゲームのサントラは買いましたし、今も頻繁に聴いています。

　またもや余談ですが、ボーカルかつこのゲームのヒロインの一人の声優をしていた遠藤ゆりかさんは声優業を引退されたそうですね。素晴らしい演技と歌声をありがとうございました。

・Stella-rium／鹿乃

　私は普段アニメを見ないのですが、一時なぜか暇を持て余していた頃があり、無料でアニメでも見てみようかとニコニコ動画でアニメを覗きました。最新話無料の文化って素晴らしい。

　そのときなぜか目に入り、なぜか見てしまったのが「放課後のプレアデス」です。

　ちょっと音楽が関係ない話します。身も蓋もない言い方をすれば魔法少女アニメです。ぶっちゃけ、うわキッツイなぁ……が第一印象でした。もし見直しても最初はそう思う気がする。ただこのアニメプロジェクト、スバル自動車が関わっているらしくて、少女達が跨って空を飛ぶ魔法の杖の駆動音がSUBARU車のエンジン音で、そのギャップが面白くて視聴を継続しました。

　宇宙人の手によって、複数の並行世界に存在する迷いを抱えた「何者でもない少女」達が同じ世界に呼び込まれて、魔法の力を与えられ、壊れてしまった宇宙船の欠片を集めさせられるという内容です。全部集めたら好きな願いを叶えるよ、って感じだったっけ？

　そして内容は萌えアニメの皮を被った、わりと硬派なSFアニメでした。宇宙とか、並行世界がテーマでしたね。考察もされてるらしい。屈託がないように見えて、どこか憂いや悩み、闇を抱えた少女達が、宇宙船の欠片を集めるという困難な使命を通して成長していく。ちょっと非日常なだけで、思春期を乗り越える若者って感じで正直ときめきました。「何者でもない少女」は「なににでもなれる」と最初に示唆され、可能性を信じきれない登場人物が段々と自信に溢れていく様が非常にエモい。

　曲の話に戻ります。ボーカルは（悪い言い方をすれば）よくいるふわふわな女性ボーカル。演奏はポップなロックという感じ。打ち込みなんでしょうけど、すごく丁寧な音楽です。ドラムの音が軽快で、ギターのリフも楽しい。サビの前でブレイクが効いていてカタルシスがあります。

　なにより素晴らしいのは、歌詞！　作詞は「くまのきよみ」さんみたいですね。本当にありがとうございました。アニメのテーマが盛り込まれています。ネタバレになるので言いませんが、二番の歌詞がアニメのクライマックスにリンクしていてニクい。私はアニメを全部見てからこの曲を購入し、そこで初めて二番を聞きました。胸を打たれるってこういうことだなって思いましたね。

　これは忠告ですが、もし放課後のプレアデスを見ることがあるなら、このOP曲のフルを聴くのは最終回を見終わってからの方がいい。絶対だ。

　作曲者のsamfreeさんは三年前に亡くなられてしまいました。なぜ才能ある人ほど早世する……。

※追記

　この楽曲、シングルCD版の音質が劣悪なことで有名です。

　アルバム「nowhere」収録版は普通なので、購入する場合はそちらを。