第14話
キ――――――ン!!
耳鳴りにも似た甲高いブレーキ音が真横から聞えた。
目を開けた僕の視界いっぱいを赤い電車が覆い尽くした。さながら血のように赤い車体である。これは、僕ごときの血が付着したところで全く目立たないだろう。なんならそのまま平常運転してもらっても構わないレベルであろう。
落下していく中、僕はそんなことを思ったけれど、すぐに生き残るためにあがく。
こんなところで死ぬわけにはいかない。死を拒んだ瞬間、死ぬだなんて昔の教訓系のおとぎ話のオチだけで十分なのだ!
しかし、自由落下に身を任している以上、何をしようとも激突することは免れないだろう。力一杯唇を噛んだためかじんわりと鉄の味が口内に広がった。懐かしい感覚を覚える暇もなく、電車は僕に迫ってくる。
手足を動かす暇はなく、声を発する暇もない。
でも次の瞬間だった。バン! という音が背中からして、身体が遠くに吹き飛ばされた。
キ――――――ン!! という音が僕の後ろを通り過ぎた。
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