第14話 孤独との戦い 後編

 毎日外の銃撃音や悲鳴、怒号に怯えながら棒の切れ端を握りしめて篭っていた。襲ってくるのは奴らだけじゃない、誰も信用出来ないし、ここに居てもいつ死ぬかわかったもんじゃないのに外に出るなんて考えられない。

 だが、いくら待てど助けなんか来ない。日を重ねるごとに食料は確実に減っていく。そんな時にリビングの窓が破られる音がした。それに続き複数人の足音が聞こえる。

 顎はカタカタと音を鳴らし、足の力も抜けていた。でもここで何もしなきゃ殺されるか、餓死する。どちらにせよ死ぬだけだ。涙を拭い覚悟を決めた。


 棒を構えてゆっくりと一階に降りると三人の男が話してるのが聞こえる。リビングの扉を一気に開けて目の前にいた男の背中に棒を振り下ろした。

 炸裂音を立てて棒が折れ、男はそのまま倒れ込んだ。しかしすぐ横にいた男の拳が顔面にヒットして後方にぶっ倒れる。

 一瞬にして意識は朦朧とし始め、視界が歪む。そして殴りかかってきた男が馬乗りになり、次は頰にぶち当たる。

 その一発で意識がはっきりした。折れて鋭利になった棒を男の腹に力一杯突き刺す。突き飛ばして立ち上がるともう一人の男が包丁を振り回した。間一髪で避けたがワイシャツから血が滲み始める。棒を投げつけて反撃すると腹から血を流し、血反吐を吐き倒れこんでる奴に躓き倒れる。すぐに近づき髪を掴むと何度も男の顔面をフローリングに叩きつけた。

 左手で腹に傷を抑え、殴られた時に出てきた鼻血を右の袖で拭った。それから片方の穴を塞ぎ強く息を出すとベチャッと血の塊が吹き出る。

 死にかけの三人と血まみれのリビングにはもう日常のカケラもなかった。

 鼻血のついた袖で涙を拭い、家中にストーブ用の灯油をばら撒き火を放った。


 それから空腹を抑えながら時間をかけてひたすら歩き続けた。奴らにも、生存者にも見つからないように。そしてようやく町の外れまで来た。その時、走ってくるカズと文紀が見えたんだ。

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