第13話 孤独との戦い 前編

 先生は教室から出て行き、自習になり、教室はすぐに騒がしくなる。それに合わせて便意が押し寄せてきた。

 教室を後にトイレへ向かい冷たい便座に腰を下ろす。気がつくと、廊下から響き渡る、騒ぐ声を聞きながら随分とゆっくりとしてしまった。トイレと言うものはどうしても長居してしまう、それも自習なら尚更仕方のないことだろう。

 だが流石に良すぎるのも先生が戻ってきたら静かな教室に入る羽目になる。それに少しだけ廊下が静まり返った。帰ってきたのだろうか?

 そんなことを考えながら鍵に手を掛けた時。悲鳴が響き渡った。それから靴が床を蹴る音が迫ってくる。急いで廊下に出ると左手には文紀達が走っていくのが見えた。

 何があったのかと右手を見ると大勢の生徒が何かから逃れるかの如く迫ってくる。そのままトイレの中に押し戻され、ある程度人が走り抜けると後ろから人影が見えた。


 

 その人影は、血まみれだった。生物の直感、第六感と言うものだろうか、すぐに逃げなければと脳が判断した。しかし階段は人混みで塞がれている。

 咄嗟に用具入れのマップを手に取ると、軋む金具を踏み壊して、持ち手だけを取り、また個室に篭った。


 それから数分、数回の断末魔の後人の気配は消えた。だが、何か別の気配を感じる。気のせいかもしれないが、こんな状況だ。確かめるしかなさそうだ。

 便座の上に乗っかり、下を覗き込むと……



 目が合った



 そこに血まみれのモノが立っていた。恐怖より、驚きが勝った。声を抑えるのに必死でその場から動けずにいたが、どうやら気づいてはいない。

 目は見えていないのだろう、そう思い便座から降りた時バランスを崩して持ち手が扉に当たった。

 即座に奴は反応し扉に体当たりしてきた。


 絶望的状況、しかしトイレに居たからだろうか。やけに頭が冴えている。鍵を開けて、思いっきり蹴り飛ばした。

 その勢いで奴は後方は吹き飛ばされる。それに合わせて、棒を顔面に向けるとそのまま突進する。そのまま後ろに押し倒されると便器に頭が当たり鈍い音がした。

 後頭部から血が流れトイレの中に広がる。


 急いで廊下を走り、教室に滑り込んで、出入り口を机や椅子で固めた。そして窓側に設置されていた救助袋を組み立て、その中に飛び込んだ。


 そして、そのまま家に向かって全力で走り続けて、中に入ると窓と出入り口を塞ぎ、食べれる物を掻き集め、部屋に閉じこもった。


 

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