第6話 とうどうかいと

ありえないありえないありえない!

ありえないついでに胸が大きくなってる…し、こんな下着は持ってない。おまけにこの髪の長さはおかしい。


下着姿のまま洗面所へ走る。

鏡をガッと掴む。


「え……………」

どうみても、自分の顔ではない。

「誰…」

茶色の髪は長くて、目は大きい。鼻筋は通っていて、唇は薄い。

綺麗だ…誰?これ。


「15歳…じゃない?」

「えっと、どうしたの?えみる…」

東堂だ。追いかけてきたみたい。


「わたし、いま、なんさい?」

「え?24…」


「に、にじゅう、よん?!!!!!?」

「どうしたの…へんだよ?」

「えみるなの?!わたし、24のえみる?」

「ま、間違ってはないけど何かおかしい…」

「おかしいよ!!!どういうこと???」



ケータイのアラームが鳴り響く。聞いたことのない曲だ。

「もう、これわたしの?」

アラームをとめる。

「…な、なんで?」

目に飛び込んだのは、2027年 7月1日。

「2027…って」

「ほんとうに心配なんだけど…どうしたの?!」

東堂が近づく。

「いやぁー!!!!!!」

涙が溢れそうになる。


15歳のえみるは、消えたのだ。

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