第5話おまもり

自分の部屋に入り、引き出しの1番上を開ける。


「んー…あったぁ!」

おばあちゃんからもらったいくつものリボン。

「赤にしよっと」

100円玉の穴に通して結ぶ。

「おー、なんかこうしてみると、ほんとうにご利益ありそーな気がしてきたよぉ」


リボン結びをし、財布に入れようとバッグを開けた。その時ー。


猛烈な眠気に襲われ、わたしの意識は途絶えた。


























「…ん…」


目が覚めた。

何か悪い夢でも見ていたような…

寝返りを打って、髪をかきあげる。

「はぁ…ん?」

自分の指を見る。髪が絡まっている。やけに長い髪の毛だ。

「えっと…誰の?」


「おはよう、えみる」

「きゃあ!!!!!!!!!」

誰かいる?!


「…え?」

「どうしたの、そんなに慌てて…」

「と、東堂…?」

「えっ、懐かしいねその呼び方…」

「と…」

息が苦しい。

目の前にいる人は、東堂によく似ている。でも、東堂じゃない…

この人は誰?


「ふ、老けた?」

「…傷つくなぁ」

ふっと俯いて笑う。東堂だ。このいんきくささ…

「て、いうかなんで上裸?!」

「えっ…それは、きのう…」

「きのう…?」

東堂の顔が赤くなる。

「え?まさか…いや、ないでしょ。なに赤くなって…」

「もしかして、覚えてない?昨日激しくしすぎて気絶しちゃったもんね…ごめんね。体…

大丈夫?」

「待って待ってなんのはなし?!激しく?!気絶?!」

「すごい連続だったし…足もずっと震えてた」

「ま、さか…」

思わず自分の布団をめくる。

下着だけだ。


「嘘でしょーーーーーー?!!!!!?」


15歳のはずのわたしは、老けた東堂と寝てしまったらしい…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る