第2話 きょうしつ

8時過ぎの教室はもう賑やかだ。まだみんな学校に慣れていないのだ。3年生は遅刻が多いらしい。

「おはよー!かよちゃん」

「おはよう、えみるん」

「相変わらず、綺麗な髪〜」

「そうかなぁ…ありがとう。」

かよちゃんは長い髪の美少女で、肌も透き通っている。

「そういえば、茶道部どうだった?」

「もう入部届け出しちゃった」

「え!はや!」

「もう入学前から決めてたから」

「そっかー…今日からいくの?」

「今日は軽くオリエンテーションとかがあるみたい。今後の活動内容の説明してくれるんだって。」

「へぇー!すごいねぇー、見に行ってもいい?」

「興味ある?」

「うん、実はすいぶとげきぶみたんだけど…なんかきつそーでむりで…」

「じゃあ、おいでよ!先輩も新入生が欲しいみたいだから、きっと歓迎してくれる!」

かよちゃんは、いつもより笑顔で嬉しそうだ。

「やったぁ!」

「たのしみだね、放課後」

「うん!」



視界に彼が入る。

「おはよー東堂くん!」

「…はよ」

「今日もげんきないねー朝ごはん食べてる?」

「鬱陶しい…」

「え?なんかいった?」

「なんでも…」

この人は東堂魁斗くん。いっつも気だるげで、テンション低め。気だるげというか、クール?暗い?


「えみるん、よく男の子に話しかけられるね…」

「え、うん。だって意識とかしないもん」

「意識…って…」

「かよちゃん、顔赤いよ?!」

かよちゃんはすごくウブ。


「おはようえみるちゃん、今日実験だってー」

「おはよーリカちゃん!なんのだろう?」

リカちゃんは背が高くて、サバサバしてる。いつもおしゃれな女の子!


「…解剖?」

「うわっ東堂!!」

リカちゃんは東堂くんが嫌いみたい…


「ボソッと喋んな!」

「え…ごめん…」

「しかも解剖じゃないから!そんなんやらんから!」


「リカちゃん、そこまでそこまで!東堂くん怖がっちゃうからー」

「あ、ごめん。でも東堂ってまじで……きもいよな」

「えっ」

「ちょっと!そんなことないよ!何言ってるの!」

「すみま…」

「東堂くんなんであやまるのー!もー!」

「あ、なんか顕微鏡の使い方教わるみたいだよ…」

「あ、かよじゃん。おはよ!」

「リカおはよう」


東堂くんとかよちゃんとリカちゃんは同じ中学だったらしい。


「けんびきょーかぁー…絶対プレパラートこわしちゃうよー」

「ええ…?えみるん怪力?」

「いやー、そんなことないけどさぁー」

「ま、えみるちゃんは力加減わかんなそうだもんね!」

「こらー!まぁ、そのとおりだけどさぁ…」

「ふふ、えみるん可愛い」

「かよちゃんのほうがかわいいー!」

「はいはいバカップル。」


予鈴が鳴った。

理科室に行かなきゃ。

「えみるん、どこいくの?ホームルームあるよ?!」

「あっ!」

ドジなのはもうばれてるみたい。本当は隠しておきたかった。


「あっ…」

東堂くんもつられて立っていた。

「ごめん!わたしの勘違い!」

俯いてしまった。私のせいだ。


「そろそろ席つけー」

教室に西川先生が入ってきた。

今日も長いようで短い一日が始まる。

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