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四ノ宮 唯架

第1話 ひゃくえんだま

「いらっしゃいませー」


「これだよこれこれっ!」

高校生になって、2週間がたった。

私は今、幸せを噛み締めている。


「これくださいっ」

ストロベリー味のカップアイスを店員さんに渡す。

「128円です」


「えへへ〜…買っちゃった!」


これが私の、高校生活が始まったらやりたいことその1。 新作のアイスを学校帰りにコンビニで買う。


「かよちゃんは部活見学って言ってたなぁー、やっぱり茶道部に入るのかな?」


できたばかりの友達、かよちゃんは昔から茶道に憧れていたらしい。

私は部活動の勧誘に目を回しながらも、吹奏楽部と演劇部の見学に行った。滲み出る練習のハードさで、部活には入らないと決めた。


「まあ、部活入らない方が自由だもんね♪」


駆け足で横断歩道を渡る。

家は学校から徒歩で10分の所にある。


「はやくおうちかえってたべよー♪」


子供っぽいと中学の頃からよく言われるわたし。でも、高校に入ってからはまだ1回も言われていない。


「ん?」

足元に何か光るものがあった。


「何これ…」

ピカピカの100円玉だ。

でも、何かおかしい…

「真ん中に、2つ穴が空いてる?」


100の0の部分に丁度大きめの穴が空いている。


「へんなのー。あ!かよちんにみせたいな!」


かたいことをいえば犯罪なのだが、お金としてではなく宝物を拾ったような気持ちで家に帰った。

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