朝っぱらから　大きな墓名碑を見上げながら談義に講ずる爺さんたち

玄関の戸がまだ網戸のままの　夏を忘れない婆さん一人暮らしの家

校長先生が見守る中　押しボタンの信号を我先にと押そうと駆ける小学生たち

何も入っていないぺちゃんこの通学かばんを背負っているのに　大きなバッグを持ち歩く中学生たち

片手でスマホ　気づかず信号無視で交差点を自転車で駆け抜ける若い作業服の兄さん

通行を譲られ頭を下げて会釈しながら職場へと急ぐお母さん

わが子の手を引いて天使の笑顔振りまく保育士さんの元へと急ぐ背広姿のお父さん

車窓を全開にして爆音でユーロビートを鳴らす車高短のアメ車の兄さん

お馴染みの蛍光ウインドブレーカーを羽織って町内交通安全の守り神と化したおじさんたち

一人目は深々とお辞儀をし　二人目は黄色い旗を大きく上下させ　三人目は赤い棒で半円を描く道路工事の整理人さんたち

何がそんなに嬉しいのか　ニコニコ顔で５、６人つるんでチャリ漕ぐ男子高校生たち

みんな素敵な　秋の　朝の風景

だけど　みんな

みんな　俺を癒すことはできない

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