Love Letter



たとえば おとといの朝のように

僕の車の前を時速20kmで走った挙句

黄色信号で加速して交差点を抜けた軽トラに舌打ちしても

すぐに

君の驚いた顔を 思い出しているんだ



たとえば 昨日の夕方のように

透明な振りして 実は黄砂雑じりの雨が洗濯物を汚して

眉間にしわを寄せながらもう一回洗濯機に入れてたとしても

脱衣所から出れば

君の頬杖をついた指を 思い出しているんだ



たとえば 今日の午前中のように

楽しみにして行った美味しいスパゲティ屋さんが

貸切パーティで入れなくてお腹がぐぅと鳴っても

信号が青になったとたん

君の後姿を 思い出しているんだ



たとえば 今日の夜のように

会う約束がだめになって

独りで電車の窓から少ない灯りを探していると

君の細い腕や

君のきれいな線の肩や

君の憎まれ口や

君の甘えた頼みごとや

君の独りよがりな解釈や

君の

君の素敵な場面ばかりを 思い出しているんだ




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