味
いや 酒は何でもいいんだ
一杯目はなんだか
そこから先は もう どうでもよくなるからさ
呑んでいくと みんな たいがい美味しくいただけるからね
ただ 肴は言わせてもらうよ
まずは 蛍烏賊ね
この時期はもう外せないね
薄口の醤油とわさびでいただきたいね
それから アジのたたきね
そう 温かいのを一品ほしいね
アサリの酒蒸しにネギを刻んだやつがいいな
じゃあ 頼んでいいかい?
あっ それでいいよ
もう 俺はこれでじゅうぶん
夜は長いし そんなにガツガツしてないんだ
今はね
ゆっくりいただくようになったし
昔よりよく噛んで食べるようになったしね
滲みてる味をゆっくり味わいながらいただくようになったんだ
なんでだろうね
肉汁よりも出汁のほうが断然いいんだよ
ん?
そう 女も
そんな女がどこにいるって?
いるさぁ
問題はね 女の方にあるんじゃなくて
自分にあるんだと思うよ
明らかな肉汁に目を奪われて食いつくか
さらさらした出汁に味わいを覚えるか
ん?
そう?
やっぱ 年寄りの考えることかな
んまあ そう言わずに呑めよ
この酒 旨いからさ
いや 知らないよ 初めて呑む酒だから
でも きっと旨くなるからさ
三杯目くらいからさ
きっとね
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