おまえが見タもの



そのどちらでもないときにこそ力を発揮する

銀河系をも飲み込む不特定多数の脳細胞たちよ

何億もの螺旋らせんを描く神経細胞たちよ

エピローグとプロローグを破壊し

本線を無視し

あまねく光にさえ余所見をして

その時を待つべし


あらゆる知識は 

ヒトが作りたもう退屈な時間を埋める所業として位置づけ

あらゆる感情は 

カミが創りたもう死までのカウントダウンを遅らせる時間稼ぎとして位置づけ

ただ

星々の形が丸いということ のみに意識を集中させよ

そして

おまえが見タものは己の眉間に溜めることにし

決して 放つこと無きよう


教えてはならず

また 教わってもならない

現世を憂うことなく

また 来世に期待してはならぬ


朝は 眼覚め

昼は 眼を細め

夕は 眼を開け

そして

夜は 瞬きをせず

ただ ただ

夜の天を見ツメヨ


決して 見渡してはならない

決して 眼を閉じてはならない

瞬きしないで ただ見ツメヨ


そこから見エルものは

真実や信念や悟りやましてや煩悩ではない

ただ ただ 丸い形の星々のみ

気付くことではない

わかることではない

見エテくるものでもない


瞬きしないでおまえが見タものなのだ


ただし

くれぐれも

おまえが見タものは己の眉間に溜めることにし

決して 放つこと無きよう



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