金曜日



7時06分。

昨日のヴィッツの悪夢を振り払うかのように早いスタート。

走り始めてから、昨夜から2つの窓の隙間が開きっぱなしだったことに気がついた。

昨日の帰り道、車内でずいぶん煙草を吸ったからだ。


週休2日になっても、特別心躍らない「華金」。

もうこの言葉自体もあまり聞かれない

職場帰りに飲みに行かなくなったせいもあるのか。

僕にとっては、徒労にまみれたウイークデーの最後の一日。


こんなやって「曜日詩」を書いていても、

とっくに、くびれがない僕のウエストみたいに、

違いのない生活の最終日。

それが、僕の金曜日だ。


週休2日も、週休1日も、

本当は、どっちだって同じこと。

だって、休みの日も休みじゃないから。

忙しくやるか、少しのんびりやるかの違いでしかない。


土曜日に、どんなに家族に疎まれようとも、

「明日は休みだ~」って飲んだくれて電車に乗る都会のサラリーマンが少し羨ましかったりする。

飲んだくれて見る夜の帳はどんな景色だろう。

つり革につかまって前後左右に揺られながら虚ろに見る、座っている人の膝はどんな膝に見えるんだう。

小さな車掌さんの声に眩しそうに目を開けて見上げる中吊り広告はどんなやって目に映るんだろう。

いつもよりずいぶん長いタクシー待ちの列を階段を下りながら確かめる気分はどんな気分だろう。

想像はつかないわけじゃないけど、

ちょっと羨ましかったりするんだ。


僕の明日、土曜日の起床時間は、

いつもより30分遅いだけです。

品行方正で、誰からも疎まれることのない土曜日の前日、

僕の金曜日。





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