路上の人よ

まっすぐに落ちてくる雨が

皮膚の痛点を叩く


世の中の悲しみを一手に受けて

灰色の雲が

涙を降らす


ああ 路上の人よ

黒い傘を閉じてくれ

その薄皮一枚で

この想いを遮断しないでくれ


ああ 路上の人よ

下を向かないでくれ

目を瞬かせながらも 上を見てくれ

この涙を受けてくれ


ぼくらのやることは

是非ばかり

遠くでも

近くでも


神仏の存在を疑い

受け入れることを拒み

だけど

やがて

見えない存在を

じぶんに抱く

もしくは

抱くしかない


知らないことはないか

知らないことをいいことにしてないか

知ってて隠していることはないか

わからないほうがいい と逃げてないか

あきらめていないか

ひらきなおっていないか

そこには体面はないのか

そこには演技はないのか



いや

全部 ある



ああ 路上の人よ

下を向かないでくれ

目を瞬かせながらも 上を見てくれ

この涙を受けてくれ


世の中の悲しみを一手に受けて

灰色の雲が

雨を降らす




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