第7話 私は一般人ではありません!!
今日は東京キャットワールドでダブルデート。雪子さんと夏美さんと夏美さんのお相手と、それと僕悠太は入り口ゲートで待ち合わせることになっている。すると。
あれは!!!なんということか!地下アイドルで人気大ブレーク中のカノリンが歩いているのではないか?伊達にアイドルの追っかけをやって長いわけじゃない。見間違えるわけない!あれはカノリンだ。サインもらわないと。
「すいませんー。あのカノリンさんですよね。サインいただけませんか?」
と声をかける。
すると慣れた手つきでカノリンはサインを書き僕に手渡し、握手までしてくれた。
今日はついてるぜ。ダブルデートの夏美さんの相手なんて別に興味ないけど、開放的なデートができるのは楽しい。
「今日は最近には珍しく良い日だな♪」
足取りも軽く待ち合わせ場所へと向かう。
「雪子さん、夏美さんお早うございます。夏美さんのお相手はどこにいらっしゃるんですか?」と夏美さんにたずねる。
あれカノリンがこっちの方に向かってくるぞ?ん?あれ、なんで一直線に俺の方に?
俺何か悪いことでもしちゃったかな?。でもカノリンはニコニコしてるし。
「お早うございます。山岸佳乃子です。今日はダブルデートよろしくお願いいたします。あ、あれ。あなたはさっきの?」
……。あの、夏美さんの相手ってまさか?
「夏美さん、政府ってこういうカップリングもするんですか?その言いにくいのですけど、夏美さんのお相手って山岸智さんですよね。妹さん?はその地下アイドルのカノリンさんだったんですね?」
ちょっと混乱してドギマギする僕。
「地下アイドル?」
雪子と夏美は同時にすっとんきょうな声をあげる。
「私のファンの方だったんですね。雪子さんのお相手の悠太さんって。さっきは握手してくれてありがとう。サイン大事にしてくださいね。」
と佳乃子は感謝の気持ちを伝える。
あ、ああああ。気まずい。雪子さん。違うんだ。僕は浮気した訳じゃないんだ。
カノリンはアイドルで、雪子は俺の嫁。別腹なんだ。理解してくれっ。
その願いも虚しく。
「悠太は私のファンよねぇ?カノリンのサインなんか要らないでしょ?」
とにっこり笑う雪子。その笑い方は1点の曇りもなく、だからこそ悠太には何よりも雪子の怒りが伝わるのであった。
「あははははは、い、要らないです。はい。要りません。」
とつい反射的に雪子に応えてしまうと。
そこにはもうすでに楽しくダブルデートする空気など、どこにも流れていなかった。
女の子たちはとても仲が悪く、夏美さんのお相手の智さんは結局最後まで姿を現さなかった。
ただ保護観察官さんに僕が
「夏美さんのお相手が現れなくてごめんなさい。ダブルデートの報告に困りますよね?どうか強制執行だけはご容赦を。」
と謝った時に。
保護観察官のお姉さんが
「大丈夫です。バッチリですよ。4人でいつまでも末長く良い人生を送っていただけると私も嬉しいですよ。」
と何も怒っていないのが不幸中の幸いだった。
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