第5話 私はJSではありません!!
「あ、お兄ちゃんだ!親切なお兄ちゃん。」
ユータが放課後クラブというその件の施設に着くと、待ってましたとばかりナツミが目ざとく飛びつくようにやってきた。
「お兄ちゃん、いつものようにゲームしてよ?」
「あのナツミさん。ナツミさん?ですよね。どうしたんですか?そんな幼いカッコして……。」
「どうしたのお兄ちゃん?変なの?ナツミのことはいつもナッちゃんって呼んでいたのに。ねぇねぇ、ジャンケンしよ?」
ユータは実は後出しの癖があり、ジャンケンがめっぽう弱かった。
案の定、軽く一回で負かされる。
ナツミさん本当に子供に戻ってしまったんだ……。でも、このナツミさん可愛くていいな。なんて思っていた時。
「ねえ、お兄ちゃん、ジャンケンは負けたら脱がなきゃダメだよう。」
え、今なんと。
「ほら上着脱いで、脱いで。と」
ナっちゃんことナツミに服を剥ぎ取られる。
程なく、僅かな下着を残して全ての服を脱ぐことになった悠太。
「ねぇ、ナッちゃん、お兄ちゃんコレじゃ風邪ひいちゃうよ。もう服着ていい?」
「うん、いいよ」
ホッとしたその時。ナツミは恐ろしいことを言った。
「お兄ちゃんは私との約束なんてどうでもいいんだ。そういうことでしょっ」
と拗ねる。
「約束だもん、ナツミと最後までゲームしてよ。わーん。」
ユータは焦った。しかし、ナツミはこの歳からすでに天性のビッチだったのかもしれない。でも。と考え直す。今のナツミは12歳なのである。子供のいうことだ。よし、覚悟を決めるか。
「じゃぁ、最後の勝負だ。いいよね?」
「うん、いいよ。最後はサンマだね。三回勝負の決勝だ!もちろん負けた方は一気に3枚脱ぐんだよ?」
凍りつくユウタ。
そして当然のようにサンマに負け、あられもない姿をさらけ出すことになる瞬間。
「あら、かくれんぼしてたのね。悠太さん。それにしても」
ユキコが現れ、絶対零度の声で付け加える。
「JSビッチと楽しそうだこと。いい根性してるわね……。」
「いや違うんだ、これはただのゲームで、遊びなんだ。」
と悠太が言い訳すると間髪入れず、悲しい声でナっちゃんが言う。
「うん、大人にとってはゲームだよね。でもナツミは真剣だよ?』
ナツミの目は潤んでいる。ユキコの代役で培った演技力で可愛くダダをこねる。
「ねえ、ナツミとの約束守ってくれるよね。早く、はやく、ルール通り脱いでってばーーーー。」
最後の服を剥ぎ取るナツミ。生まれたままの姿で呆然と雪子の前に立たされた悠太。
そして雪子の視線は優しく、全裸になった悠太の体に遠慮なく注がれていた。
「悠太さん。お話があります。ドライブにいつも通りご一緒してよろしいですよね?」
ストーカvsJSの勝負の行方は、どうやら、ストーカの勝ちのようだった。
雪子は悠太の耳をぐいっと掴むと、そのまま車の方に容赦無く連行した。
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