第30話 火と風の主

 増殖こそしていないが大地が氷に閉ざされながらもゴブリンやオークは生き続け、多くの生物の食料になっている。

 魔帝国では、凍結するほどの寒さをしのぐために火の精霊に祈りを捧げ、巨大なデーモン型の火の精霊を誕生させた。


 「燃えてるねー。」


 『火の大精霊イフリート。溶岩を生み出して魔帝国が氷に閉ざされるのを防いでいます。』


 「めっちゃ、ゴブリンがマグマに落とされてるねー。ゴブリン減るかなー?」


 『あれだけ広大な大地を燃やしていますからね。必要な魔力ゴブリンもそれなりになります。』


 「でも、なんか禍々しいねー?」


 『ゴブリンとはいえ、生きたままマグマに落としていますからね。ただ、効率はいいはずです。』


 「そっかー。それなら、仕方ないかー。森には雪が積もらないんだね?」


 森ではエルフが風の精霊に祈りを捧げ、鳥の羽を持つエルフ型の風の精霊を誕生させた。


 『森には風の大精霊シルフが、魔力を含んだ風で雪を吹き飛ばし木々に魔力を与えています。』


 「これだけの森にどうやって魔力を供給してるのかなー?」


 『この氷に閉ざされた環境では温暖な土地に侵入する生物は後を絶ちませんから。』


 森を観察していると、土偶樹どぐうじゅがうねうねと動き侵入者を拘束し吸収していく。


 「なるほどー。あれ?でも、普通に入っている生物もいるよ?」


 『ウッドベルという道具を取引相手には配っていて、それを鳴らすことによってトレントの攻撃を受けずに森に入ることができます。』


 「なるほどー。考えてるねー。デーモンの方もそういう仕組みあるの?」


 『魔帝国の方はシンプルで、種族以外はマグマ行です。』


 「うーん。閉鎖的?」


 『ですね。生きるために手いっぱいで、手を差し伸べる甘さより斬捨てを選択しています。』


 「甘さ超重要ー。」

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