第25話 大光教

 『ヒューマンの国で大光教オーバーライトが誕生しました。』


 「ん?また、精霊?」


 『いえ。今回は創造主を信仰していますので運命様でよろしいかと。教祖も身を粉にして救済していて、とても好感がもてます。』


 「いやー。これは、もう、アレの一択でしょー。」


 『わかりました。では、癒し手スキルを与えてはどうでしょうか?』


 Yes or No


 「イエース!スキルの効果わからないけど、イエース!」


 『世界樹の葉よりは効果が薄いですが、簡単な傷や病気を治せるスキルです。』


 「さぁ!どんどん祈ってくれちゃっていいよ!」


 『腐敗しました。』


 「は?」


 『腐敗しました。初代は立派だったのですが、2代目になって金や権力にとりつかれて見る影もありません。』


 「金?」


 『価値基準の統一システムです。ヒューマンの国では魔力の抜けたゴブリンの魔石を、ドワーフの国では金貨、エルフの国ではトレントの種、マーメイドの国では真珠が使われています。』


 「でもでもー。スキル使えるってことは信仰してるんだよね?」


 『はい。金や権力を得るために信仰しています。』


 だめだこりゃ。

 「そっかー。」


 『己を律すること、他者を律することは、知的生物にとってもなかなか難しいことなのです。』


 純粋に生きてる生物でも見てなごむかー。

 「山の上にいるオーガが、天に向かって吼えてるねー。清々しいわー。」


 『それは特殊個体のオーガです。腕が4本あるためクアドロと付けました。主に高い所が好きで、山の上の一番高い木から縄張りを主張するために吼えています。』


 「頭足りないって、安心するわー。」


 『それは、それで、どうかと思います。しかも、叫んでる内容は、交配してー!ですよ?』


 「どっちも、どっちだったかー。」

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