第十五話 宝石の街ポーラポーラ
砂嵐をなんとか、まあ、そこそこ無事に乗り切ってから二日。俺たちはほぼ予定通りに砂漠を越え、宝石の産地『ポーラポーラ』へと到着した。
この街の警備は、他の街とは比べものにならないくらい厳重だった。街へと続く道は、そびえ立つ岩山に挟まれた一本道のみ。この道の入り口と、街の手前二ヶ所に門があり、衛兵がいるのだ。
この世界における宝石の定義は、地球とあまり変わらない。つまり、少ししか産出されないのに、綺麗だからみんなが欲しがって、値段が高くなった石だ。俺は地球の宝石の事さえ良く知らないので、この世界の宝石の事など、全然わからない。とてもきれいだという事以外は。
金になる物には、人が群がる。中には人の道から外れても、手に入れたい
ポーラポーラは、宝石を買いに来た人と、それに
ほとんどの人は、砂漠とは反対の海側からやってくる。街道の途切れた砂漠を、わざわざ越えて来る商人は少ない。つまり、サラサスーンに宝石が入ってくるルートは、海側から大きく回り込んでいるのだ。ポーラポーラの宝石は、そのルートを
ロレンはこのルートを、強引にショートカットしようとしている。成功すれば、さぞかし
なんとなく、ロレンと大儲けがイコールで繋がらない。少なくとも俺が見てきたロレンとは。
今回の
ロレン、おまえのお人好しは、いい仕事をしているじゃねぇか。チョマ族の族長の尾羽は開いていたし、ドルンゾ山の
砂漠の小さな集落の女の子が、サラサスーンのトマトを
ロレンがあの顔を見たいと言うから、おまえのキャラバンの
おまえは、大儲けしたとしても大金持ちには、たぶんなれないな。みんなわかってるさ。だから思うようにやれよ。
とまぁ、いつかロレンにそんな事を言ってやりたいとは思う。俺の異世界語レベルがあと三十も上がったら、伝わるように言えるだろうか。
ロレンが宝石の買い付けという
ミトトは港のある大きな街だ。この世界にも、荷物や人を運ぶ大きな船があるそうだ。往復で二、三日。少しみんなを待たせてしまう事になる。
せめて何かナナミに関する情報が欲しい。
ああ、また俺は期待値の上限を下げているな。ナナミに逢えなかった場合を想定して、自分を守ろうとしている。
気がつくと俺は、小さな声でビートルズのlet it beを口ずさんでいた。
この曲は歌い始めると、いつまでも終わらない。エンドレスで繰り返してしまう。そのうちにハルも覚えて一緒に歌い出した。
俺たちは砂漠の名残りの風に
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