第十三話 砂漠メシ
砂漠の景色はどっちを見ても、同じように赤い砂丘が連なっている。ふとした
俺の場合はまだそう多くの星を覚えていないけれど、明けの明星と
どうしても方向転換しなければならない時は、一番高い砂丘に木の枝を差すことにしている。風で倒れたりはあるかもだけどな。
あとは念のため留守番役のハザンが、一定時間ごとに
あ、なんかフラグっぽいかも。今のナシ、今のナシで!
なんとか? フラグを回避して、野営場所に戻る。
砂漠ガゼルを、ドヤ顔でハザンに渡す。決めた訳ではないが、ほとんどの獲物の解体はハザンがやる。ハザンは向かってくる相手には
「大物じゃねぇか!」と言うハザンに、あくびが仕留めた、と言うと
「パラシュが狩りの手伝いするなんて、聞いた事もねぇけどな。そいつ変わってるよな」
と、あくびを
馬車を降りてから旅は順調に進み、既に街道の行き止まりの街を過ぎている。そこから先は砂漠の民でなければ越えられない。道なき砂漠の案内人が必要なのだ。
行き止まりの街で雇ったガイドは、ハルより少し年上のピンと尖った茶色い耳を持つ少年だった。名前を、ルカランという。ルカランのガイドは堂に
『ポーラポーラ』はキャラバンの目的地であり、有名な宝石の産地だ。旅の難易度は高いが、商人にとっては文字通り宝石箱のような街だと言う。
「ハル! フルカ採ってきたのか? オレはコモラを見つけたぞ!」
ルカランがハルに走り寄って言った。コモラはいくら噛んでも繊維が残るが、たいそう甘い汁が出る。フルカもコモラも、子供が大好きなサボテンだ。
「ルカランすごい! コモラ、なかなか生えてない!」
二人はお互いの戦利品を見せ合いながら、早速並んでサボテンにかぶり付く。
ロレンはルカランと狩りに行っていたらしく、砂漠ウサギをハザンに渡している。アンガーは、今日の寝ずの当番だったので仮眠中だ。
俺が煮炊きの焚火の準備をしていると、ハルとルカランが手伝いにやってきた。穴を掘り、燃料の炭を入れる。立ち枯れの木の枝を細かく砕き、火を点ける。
ガゼルの解体をしているハザンのところに行き、
フライパンに肉の脂身を入れ、遠火で油を出す。その後肉の両面に焼き色をつけてから、肉汁ごと砂漠の民の鍋に入れる。フルカの皮を剥きぶつ切りにしたものと、レンコンのような食感のサボテンの実も入れる。
タッパーからレバーを取り出し、薄切りにする。フルカの皮を細切りにしたもの、サボテンの実を砕いたものと合わせ、
ひまわり油をフライパンに多めに入れ、カリカリになるまでゆっくり火を入れる。かき揚げ風になったら塩を振り、ルカランとハルに味見をしてもらう。
「なにこれ! うめぇ! もっと!」
おお、大好評だ。急いで食べて、口ん中
煮込みが出来るまでまだかかるから、先に
日が暮れたら出発だ。砂漠の旅はまだ続く。
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