第九話 乾燥注意報
砂丘に挟まれるように伸びる街道を馬車が走る。薄っすらと砂に覆われた
ナツメ
ナツメ椰子は地球のものと良く似ている。生でも食べられるし、ドライフルーツにすると干し柿のように濃厚で甘い。そして、サボテンの種類はサラサスーンと、比べものにならないくらい豊富だった。
味や食感も
サボテン
ナツメ椰子の木陰で、水場を眺めているだけで、染み渡るような
露店で砂漠の
「次の街で、馬車を降ります」
実際、馬の消耗は激しく、水の消費も大き過ぎる。だから野営中にロレンがそう言った時には、誰もが頷いた。
それは同時に、馬や馬車と一緒に留守番をする人が必要になるという事だ。そして、街道の行き止まりの街で降ろすはずだった荷物を、どうにかしなければいけない。
「ガンザ、次の街は大きい市が立ちます。
うん。ガンザは人当たりもいいし、交渉も出来る。きっと
「トプルは馬の世話と、馬車の護衛をお願いします」
うん。トプルは腕っ節も立つし、よく俺が馬の世話をしていると手伝ってくれた。
「俺も残っていいか?」
ヤーモが珍しく手を上げて言った。
「ああ、ヤーモは暑いのが苦手ですからね。わかりました」
三人も抜けるのか。
「俺とハルは?」
俺が聞くと、ハルが泣きそうな顔をした。自分は残っても着いて行っても、役に立たないと思っているのだろう。
バカだな! ハル、大人に混じって役に立つ八歳児なんているわけないだろう?
「ハルは大切な
ロレンが留守番組に聞く。
「仕方ねぇな。ハル坊は
ガンザが言った。みんながハルを気遣ってくれるのは嬉しいが、心苦しくもある。
それはそうと、俺は連れてってもらえんのか、な?
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