第3話 学力主義大国
浩太が夏期講習に通っているのは、母に尻を叩かれてのことでしかない。
いや、それも直接の原因とは異なる。
母は当初、浩太を塾に行かせる気などなかった。
何を企んだのか晶が「浩太君は塾に行かせないんですか?」などと進言したのが始まりだ。
「でも、うちの子は勉強駄目だから」
最初は笑っていた母だったが、
「今のうちに勉強させておかないと大変なことになりますよ。悲しいことですけれど、社会的には学力が人間の力を測るモノサシです。今の日本は学力主義大国で、良い大学に入らないことには良い会社に入れないんです。良い会社とは人によって解釈が違うとは思いますけれど、学力が高ければその分だけ選択肢が増えます。選択肢を増やすという理由だけも、勉強させるには価値があると思います。最低限の常識がないと大人になった時に恥ずかしいですし、勉強できるのは学生の間だけですよ!」
晶に熱弁されて、母はころっと洗脳されてしまった。
母が出した結論は「晶ちゃんが言うなら通わせてみようかな」だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます