第27話 保護(3)


「あの、私、そろそろ寮に帰ろうかと」


 もう熱も下がった。

 いつまでもここで休んでいる訳にはいかない。

 早く戻って仕事をしないと。

 新人として覚えなくちゃいけないことは沢山あるはず。

 このままここで休んでいたら、みんなにどんどん差をつけられてしまうわ。


「ちょっと待て。まだ髪飾りの疑惑が晴れてない。ステータスを見せろ」


 またそれか。

 もう一切を忘れて、心機一転頑張ろう!

 そう思っていたけれど……。

 まだ火種はくすぶっているらしい。

 もしかしたら、ゴウゴウと燃え盛っているのかもしれなかった。

 首を縦に振る。


「……三日間、貴方のベッドを取っちゃったし、食事も恵んでもらって、色々とお世話になったから……」

少武シャオウも一緒でもいいか?」

「え~」

「え~とはなんだ! お前、自分の立場を分かっているのか?」


 ぶぅ~。

 ……しょうがないか。

 さすがに今回は、坊ちゃんには色々と迷惑を掛けてしまったし……。

 このままいつまでも罪人扱いされるのはイヤだしね。

 にしても、なんで私のステータスを見ると疑惑が晴れるのかしら?

 ウチの会社はよく分からないことばかりだわ。


「じゃあ、貴方とタオ様だけなら。それ以上はちょっと……」

「よし。ちょっと待っててくれ。少武をここに呼び出すように言ってくる」


 そう言って坊ちゃんが部屋から飛び出して行った。


 それから間もなく。

 部屋に戻ってきた時には、イケメン眼鏡君も一緒だった。


「やあ、御堂河内みどこうちさん。身体の方は大丈夫? 熱も下がったのかい?」

「はい。ご心配おかけしました。お陰様で、すっかり良くなりました」

「それは良かった。ところで、天の話しでは、天と僕に御堂河内さんのステータスを見せてくれるということだけど、本当に良いのかい?」

「はい。少しでも早く疑惑を晴らして、普通の生活に戻りたいので」

「うん。じゃあ、見させてもらおうかな」


 頷いた眼鏡君と坊ちゃんが、私の顔を挟むように顔を寄せてくる。


 い!?

 ちょ、ちょっと待って!

 いや、確かに相手の目線に合わせないと、ステータスがちゃんと見えないのかもしれないけど……。

 ち、近くない?

 右にも左にも……、逃げ場がないじゃない!

 そ、それなら……。

 えーい!

 下よっ!


 スゥー。


「おいっ! なんで逃げるんだよっ!」

「だって~」

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